新潟とベトナムの交流における現状と課題をお伝えします。日本各地の自治体や経済団体などが、経済成長続くベトナムの活力を取り込もうと、競い合うようにトップセールスを展開しています。今回は、コメの輸出などを通じた“インバウンド”について取材しました。
人口約1億人を抱え、新型コロナウイルス禍でも順調に経済成長を続けてきているベトナム。親日国家でもあり、豊富で日本より安い労働力を求め、多くの日本企業が進出しています。
【記者リポート】
「日本企業の進出が相次いでいるホーチミン市。外国人も多く暮らしていて、日本食レストランが人気を集めています」
2月23日、ホーチミン市の日本食レストランを訪れた、新発田市の二階堂馨市長。ここでシェフたちを前に行ったのは、新発田産米の輸出拡大に向けたトップセールスです。
【新発田市 二階堂馨 市長】
「ベトナムにも少し前にワッカジャパンの関係で入っているが、今回、大々的にベトナムでやっていく」
コメの輸出を通じて、街の認知度を上げ、インバウンドの促進を狙う新発田市。
2017年度から海外での日本米の販売を手がけるワッカジャパンと連携し、新発田産米の輸出を始めています。
台湾から始まり、その後、香港やシンガポール・ニューヨークなどにも拡大。2022年度は過去最高となる輸出量306トン・販売金額5800万円を見込んでいます。
その一方で、二階堂市長が訪れたベトナムへの輸出はわずか5トン。
今後は、日本食ブームの追い風で増加する日本食レストランなどをターゲットに、輸出量の増加を目指します。
【FUME 鶴原翔三さん】
「有名どころのコメでもあるし、おいしそうだと思っているので、これから使うのが楽しみ」
こうした声に応えるべく、輸出するコメには、とことんこだわります。
新発田市が輸出するのは、市で毎年開催しているコメのおいしさを競い合うコンテストで上位に入賞したコメのみ。
さらに、輸出するコメは、玄米のまま低温で保管。オーダーを受けてから、ワッカジャパンの海外拠点を通して送り、現地で精米してレストランや消費者の元に届けられます。
【花美 伊藤宗将さん】
「精米を現地でやることはクオリティーが高い白米だと思うし、鮮度がすごくいいと思う」
しかし、課題となるのは、やはり価格です。現地の小売店で販売されているコメの価格と比べると、新発田産米は1.5倍から最大で4倍ほど高くなります。それでも…
【日本食レストラン経営者】
「試食して、店の寿司の味に合ったら、このコメを3つの店舗のレストランで使いたい」
二階堂市長はこの日、6軒の店を回り、その品質の高さを売り込みました。
【新発田市 二階堂馨 市長】
「世界の皆さんに食べていただきたい。そして最後は月岡温泉に来ていただいて、インバウンドで新発田の街を、そして風情を楽しんでもらいたい」
インバウンドの促進に向け、まずはその味を知ってもらい、認知度を高めようと、二階堂市長のPRにも力が入っていました。
それもそのはず、2023年1月に日本を訪れた外国人は約149万人と、インバウンドは回復傾向にありますが、数ある自治体の中から旅先として新発田市、そして新潟県を選んでもらう必要があるからです。
そのきっかけづくりにと、2月26日には現地で開かれていた日本とベトナムの交流イベントを新潟経済同友会のメンバーが視察。
【新潟経済同友会 山本善政 代表幹事】
「北海道もある。北海道に負けるんじゃないよ」
会場では、日本各地の自治体や旅行会社がブースを構え、観光をPR。新潟のブースも「NIIGATA」の名前を知ってもらおうと、SNSなどを活用しながら新潟を売り込みますが…
【ベトナム人】
Q.新潟に行ったことは?
「聞いたことはある。新潟はシーフードがとてもおいしいと聞いた」
【ベトナム人】
「新潟は聞いたことがなく、行ったことがない。これから調べてみたい」
【ベトナム人】
「日本に行ったことはないが、東京が好き。東京の桜がきれいだと聞いた」
新潟の認知度は、まだまだ低いのが現状です。
【新潟経済同友会 山本善政 代表幹事】
「親日的なベトナムの方が新潟にたくさん来るといい。そのためには、エアーをしっかり確立したほうがいい」
【新潟経済同友会 吉田至夫 代表幹事】
「ベトナムの方から来ていただくと同時に、我々がもっとベトナムへ行って、お互いの人的交流も深めていきたい」
いかにしてインバウンド客を獲得していくのか、新潟の食のPRを含め、認知度向上へ継続的な取り組みが求められます。