「解体費込みで2億円」 大阪・関西万博で注目のトイレ 設計者は「実験的な試みに金額を投じているという認識」

4月13日で開催1年前となった「大阪・関西万博」。
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建築資材や人件費高騰のあおりを受けて、会場建設費は当初の約2倍となる2350億円まで膨らんでいます(誘致当初1250億円、2020年1850億円、2023年2350億円)そんな中で、いま騒がれている「2億円のトイレ」の設計者を訪ねました。
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(大同大学 米澤隆准教授)「若手を対象とした設計士選定のプロポーザル(企画競争入札)があったので、ぜひにと思って応募させていただいた」名古屋市南区の大同大学で建築を教える米澤隆准教授。
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これまで名古屋駅西口の駅前広場など、そこで過ごす人々の交わりを重視した建築を数多く手掛けていますが、いま、ある作品が注目を集めています。(大同大学 米澤隆准教授)「子どもが遊ぶ積み木のおもちゃのように、気軽に移動させたり、組み替えたりする、建築を気軽にする試みとしてこういう設計をしている」
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色鮮やかな積み木のようなこの建物は、万博会場内に設置される「トイレ」。オレンジや水色の箱のような建物のひとつひとつに便器が入ります。(大同大学 米澤隆准教授)「大阪・関西万博は明るいイベントなので、皆さんが楽しくて明るい気持ちになる色合い」
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会場内にトイレは40か所。このうち8か所は、若手建築家が設計する「デザイナーズトイレ」。米澤准教授が作るのは、便器の数が60個の会場内で最大規模のトイレです…その建築費は。
(大同大学 米澤隆准教授)「解体費込みで2億円」これが、SNSなどで「2億円トイレ」として「高すぎる」と批判を受ける事態になったのです…しかし。
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(大阪府 吉村洋文知事)「2億円で一つの小さなトイレを作るのではなく、大規模トイレですので、トイレの平米単価にすると公共施設のトイレと値段は大きく変わらない」金額について、国や大阪府は「高額ではない」との見解を示しています。
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(大同大学 米澤隆准教授)「『万博2億円トイレ』『デザイナーズトイレ』とパワーワードが一人歩きしている印象がある。ともすると2億円もかけてゴージャスでリッチなトイレを作るという認識があるのでは。でも実際は、未来の社会にメッセージを発したり、新たな建築のあり方にチャレンジするという実験的な試みに金額を投じているという認識」米澤准教授は「社会の変化にあわせて生き物のように生まれ変わる建築」を目指したとしていて、このトイレは万博閉会後は分割し、別の場所に移転して使い続けることができます。(大同大学 米澤隆准教授)「移設、転用をメインコンセプトに据えて設計しているので、(開催期間の)半年だけのための建築でない」夏ごろの着工に向け、現在、業者の選定が進められていて、建設に遅れは出ていませんが、こんな課題も…(大同大学 米澤隆准教授)「予期できない状況で建築資材が高騰したり、人件費が上がっている」また、「万博」を巡る工事特有の懸念も…(大同大学 米澤隆准教授)「世間の批判的な声もあって、業者が万博に希望を持って取り組むのかという懸念」
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開催まで残り1年…こうした課題をスッキリ水に流し、希望あふれる万博になってほしいものです。