「おおー、きれい」漆黒に輝くウエディングドレス 島の「泥染め」で織る 黒は人気でフォト婚にも

久米島紬(つむぎ)の泥染めの技法で作り上げたウエディングドレスと琉装の婚礼衣装のお披露目、ミニファッションショーが2月11日、沖縄県久米島町真謝のユイマール館で行われた。ひだの重なる部分が漆黒色に輝くブラックドレスは、泥染めの特徴を表現しており、観客を魅了した。(比嘉正明通信員)
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■モデルが発案 時代にマッチ
黒のドレスを作ろうと考えたのは熊本県出身のモデルで久米島紬のドレス制作経験があるソラスーホさん(33)だ。婚礼衣装は白が多い中、「泥染めは久米島紬を象徴する技術」と提案。制作委員会の中心で、町内でブライダル事業を営む仲宗根麻衣子さん(53)も「婚礼衣装にブラックを選ぶ人は多く、時代にマッチしている」と話す。
仲宗根さんと町内でウエディングサロン「クメラシック」を営む石川萌奈美さん(32)が、織り手の山城智子さん(66)を手伝う形で布を泥染めした。都内在住のデザイナー、中田早紀さん(34)のデザインを基に仕立てられた。

ショーは久米島紬フェアで開催。仲泊のモデル金子麻里さん(31)が黒光りするドレス姿で登場すると、客席からは「おお、きれい」の声が漏れた。
■ランウェーを歩く
琉装の男性用は球美中3年吉原幹太さんがモデルを務めた。黒を基調に大きめの絣模様で、頭に“はちまち”を冠し、腰に金銀の扇子を差した。女性用は同中1年の譜久里咲良さんで、鮮やかな黄色を基調とした絣入りの打ち掛けを着けてランウェーを歩くと、観客がスマホで撮影していた。
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泥染めのドレスは「クメラシック」、琉装は久米島紬事業協同組合で管理する方針。結婚披露宴でのレンタルやフォトウエディングで活用される予定だ。