与那国出身の女性が古里へ恩返し 町立図書室に100万円寄付 「島のためにできることがうれしい」

【与那国】与那国町祖納出身の東(あずま)その子さん(73)=旧姓平良=がこのほど、与那国町役場を訪れ、町立図書室に100万円を寄付した。与那国中学校を卒業後に島を離れて58年。現在は沖縄本島で美容関係の仕事に就いており、子育てなど日々に追われて帰省することができなかった。それでも、つらい時は古里を思い浮かべて心の支えにしてきた。東さんは「島のためにできることがうれしい」と目頭を押さえながら話した。
幼少期は貧しく、畑の野菜などを売って暮らしていた。古里に戻って風景を眺めていると、そんな思い出がよみがえった。今回、同級生の縁で図書室に寄付することになり「中学から島を離れて苦しい中でも周りの優しさに助けられた。今後もいろんな形で与那国に貢献したい」と言葉を詰まらせながら話した。
寄付の目録を受け取った寺村有美恵町教育長は「巣立っていく子どもたちが島を誇り、心の支えになれるように育てていきたい」と感謝した。糸数健一町長も「東さんは読書することが特別だった時代を生きた世代。多額の寄付も非常に感謝したい」と述べた。
孫の常二さん(7)、息子の淳一さん(44)もその子さんと一緒に島を訪れた。淳一さんは「母の願いがかなって良かった」と喜んだ。(田頭瑠都通信員)