【名護】名護市東海岸の二見から、西海岸の同市大北にある名護商工高校まで、往復約25キロを自転車通学して3年目になる高校生がいる。同高3年の上地陸人さん(17)。父親が経営する「二見工務舎」=同市二見=のヤード兼宿舎から通う。「朝7時に出発して8時には着く。バスより自転車のほうが気楽だし、体も鍛えられる」と笑顔で語る。(玉城学通信員)
実家は恩納村にある。自転車通学のきっかけは、同村立うんな中学校3年の頃にさかのぼる。名護商工高建築科への受験を決めていたが、通学方法に悩んでいた。
父の健さん(63)に相談したところ、仕事の合間を縫って二見から同校まで自身で自転車を走らせてくれた。健さんは「峠越えで少しきつい」と感じ、今度は電動自転車で試したところ「これなら大丈夫」と確認した。入学と同時に電動自転車をプレゼントし、陸人さんの自転車通学がスタートした。
行きは、二見から上ったり下ったりを繰り返しながら世冨慶を経由して同校へ到着する。帰りは、下り坂が多いルートを選び、同市東江から県道18号を通り、二見に戻る。
陸人さんは「電動自転車だけどバッテリーが減るとペダルが重くなるので充電には気を付けている。雨がっぱは必需品で常にリュックに常備している」という。
帰宅すると、作業着に着替え、工務舎でアルバイトする。ヤードで型枠製作やくぎ抜きで汗を流す。土日は一日中作業する。
九州工業大学への進学を目指す陸人さんは「受験の講習があるときは午前6時半に登校する。ヤードでバイトするのは大学の学費を稼ぐため」と語る。
上地さんの自転車通学を見てきた二見工務舎の事務員、仲地まゆみさんは「無口でおとなしいけどすごく粘り強い。自転車通学を始めた時はびっくりしたけど、続けていて偉い」と感心していた。峠越え 宿舎から高校まで往復25キロ 自転車通学して3年目 …の画像はこちら >>