【速報】グリコアイス工場で排出基準超過 窒素・リン、水質測定などデータ改ざん97回 野田

千葉県は7日、江崎グリコの関連会社「グリコマニュファクチャリングジャパン」の千葉工場(野田市)で窒素とリンの排水基準等の超過があり、水質汚濁防止法に基づく水質測定などのデータを計97回改ざんしていたことが発覚したと明らかにした。同社は県庁で記者会見し「水質測定の担当者が改善に向けた指示を受けると業務量が増大すると懸念してデータを書き換えた」と弁明。白石浩荘社長が謝罪した。
同社によると、2月に同工場の排水処理施設から未処理の水があふれ、外部に流出する事故が発生。事故調査の過程で、元データと県への報告書などの数値に矛盾があるのを確認。データ改ざんが発覚した。
基準超過と改ざんは少なくとも同社にデータが残る2019年5月~22年12月で確認。窒素は1リットルあたり20ミリグラムの排水基準に対し最大で50ミリグラムの値が測定され、18回超過。リンは4ミリグラムに対し最大で9・96グラムを検出し、基準を8回上回った。
総量規制でも窒素とリンが計24回基準を超過。超過時には事務所などでアラームが鳴るが、特段の対応はしていなかった。
改ざんは超過時以外も行われ、窒素は57回、リンは28回あったほか「化学的酸素要求量(COD)」のデータも12回書き換えられた。
同社の白石浩荘社長は県の説明後に会見し「県民にご迷惑をおかけし申し訳ない。再発防止策を何重も打っていく」と謝罪した。
県などによると、同工場は原料に窒素やリンが含まれるアイスクリームを製造。製造時に発生する水を処理し、東京湾につながる河川に排出している。大量に排出すると、東京湾で植物プランクトンなどが著しく増殖し、赤潮などを引き起こす可能性があるという。
水質汚濁防止法で濃度の排水基準と一日あたりの総量規制がかけられ、測定結果の記録、保存が義務づけられている。
データ改ざんの発覚などを受けて、県は7日に同工場に立ち入り検査し、事実関係の確認や再発防止策を聴取。一般的に超過量などから直ちに環境に影響を及ぼすことはないというが、今後刑事告発や行政処分など必要な対応を検討する。
県水質保全課は日鉄君津のシアン流出を念頭に「水質汚濁防止法に関する問題意識が必ずしも十分でない。制度を再度しっかりと周知し、法令遵守に努めてもらう」と見解を述べた。