“H3ロケット”打ち上げ失敗に落胆も… 技術提供の関係者「学ぶこと多くある」【新潟・長岡市】

3月7日、多くの夢を乗せて打ち上げられたJAXAのH3ロケット。しかし、第2エンジンの点火が確認されず、失敗に終わりました。打ち上げに、その技術が生かされていた長岡高専の関係者は口惜しさをにじませました。

【飛田厚史アナウンサー】
「技術提供した長岡高専の関係者は打ち上げを前に、神妙な面持ちに変わりました」

H3初号機の打ち上げを見つめるのは、長岡高専の矢野昌平教授と研究室の学生たちです。

矢野教授たちが開発した技術がH3ロケットの打ち上げに関わっていました。

【長岡高専 電気電子システム工学科 矢野昌平 教授】
「温度や湿度、いわゆる監視に使われている」

採用されたのは、矢野教授らが開発したAIカメラ。人工知能で温度計の針など、アナログの数値を読み取れるのが特長です。

H3ロケット第2エンジンの燃料「ヒドラジン」は引火しやすいため、保管室内に電気機器を入れられないことから、温度計や湿度計の針をこのAIカメラで監視していました。

【長岡高専 電気電子システム工学科 矢野昌平 教授】
「無事、打ち上がることを願っている」

【学生】
「前回、失敗してしまった。今回は期待している」

【学生】
「ドキドキ」

【学生】
「とても光栄。ワクワクする」

2月17日の打ち上げ中止から2度目のチャレンジが始まります。

【研究室のメンバー】
「頑張れ、頑張れ」

しかし、その数分後…

【JAXA】
「2段の点火が確認されておりません。引き続き、状況を確認中です」

第2エンジンの燃料保管に携わった長岡高専にも不安が広がります。

【JAXA】
「ロケットはミッションを達成する見込みがないとの判断から、指令破壊信号を送信しました」

願いも届かず、打ち上げは失敗に終わりました。

【長岡高専 電気電子システム工学科 矢野昌平 教授】
「気持ちとしては、すごく残念」

失敗の原因は分かっていませんが、JAXAは去年10月のイプシロン6号機に続き、2回連続の打ち上げ失敗となりました。しかし…

【長岡高専 電気電子システム工学科 矢野昌平 教授】
「失敗したからこそ、改善・見直しがあるのでは。データおよび写真が全て残っているので、原因解明の役に立てればと思う」

【学生】
「失敗からステップアップするのは、どんな年でも大事。学ぶことが多かった」

【学生】
「自分の研究が大きなものにつながると、前向きに考えて研究を頑張りたい」

失敗から学ぶ意欲を見せ、前を向く長岡高専の研究者たち。

H3ロケットをめぐっては、国が文科省に原因究明の対策本部の設置を指示していて、全容の解明が待たれます。