家康は「イケメン」だった…「府中宿」の注目スポット 静岡市歴史博物館…東海道五十三次・静岡の宿場町新名物

東海道五十三次の県内にある地点ごとに注目のスポットなどを取り上げる企画(随時掲載)の今回は、県内9番目の「府中宿」。現在の静岡市で、江戸幕府を開いた徳川家康が終の棲家にした駿府城の城下町として栄えた地。家康や市の歴史を伝える「静岡市歴史博物館」を訪れた。
静岡市歴史博物館は、NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送が始まった昨年1月、正式にオープンした。駿府城公園のすぐ横にあり、家康の甲冑(かっちゅう)や花押(サイン)などが展示されており、昨年度は28万4115人が入場。プレオープンから1年11か月が過ぎた今年6月23日には来館者50万人を達成した。
放送が終わり、今年度は約5万人。月平均では昨年度比で約7000人減った。ただ、同館では“アフター大河”の集客低下を想定済み。特別企画展で家康以外の様々な切り口で市の歴史を伝えている。7月6日からは「走れ! しずてつ」を開催。静岡鉄道の歴史を通じて、市の高度経済成長期を知ることができる。
学芸員の青木祐一さん(52)は同館の役割を「市民に対して、市のいろんな魅力を見ていただくことには変わりない」と力説した。同館オープンまで、県の歴史を身近に知る施設があまりなかったとのこと。「県内の若い人から年配の方も『知らなかった』と言う人が多い。県の歴史に親しみを持つ機会になれば」と呼びかけた。
それでも、家康を中心とした常設展示の魅力に変わりはない。取材時も近くの小学生が課外授業で熱心に学ぶ姿を見た。今年度に入って2か月で21校の生徒が訪れた。展示の最後には、見学して家康に抱いた印象を書くボードがある。筆跡の多くは子どもで「イケメン」などと記していた。静岡のみならず、日本の歴史を語る上で外せない人物に親しみを感じたようだった。県民の“家康ブーム”を継続するのにも一役買っていた。(伊藤 明日香)
◆静岡市歴史博物館 開館時間は午前9時から午後6時。休館日は月曜で、祝日の場合は翌平日が休館。1階のみの入館は無料。2、3階の展示室は一般600円。住所は静岡市葵区追手町4―16。JR東海道本線の静岡駅から駿府浪漫バスで「東御門」下車すぐで、徒歩だと15分。