依然としてなくならない飲酒運転の危険性を改めて知ってもらおうと、飲酒運転などの交通事故に遭って亡くなった人の写真や遺品を展示する「生命(いのち)のメッセージ展」が、千葉市美浜区の自動車事故対策機構千葉支所で始まった。7月20日まで。
同機構は交通事故被害者の支援などをしており、千葉支所での開催は4回目。全国でメッセージ展を開いているNPO法人「いのちのミュージアム」(東京都日野市)の協力を受けている。
今回は、八街市での児童死傷事故から3年を踏まえ「八街を忘れない~飲酒運転ゼロを目指して~」がテーマ。自動車事故の犠牲になった7~56歳の男女15人の顔写真が貼られた等身大パネル、家族からのメッセージ、生前履いていた靴などが展示されている。
同機構の中村晃一郎理事長(65)は「命の重さと大切さを多くの人々に感じてもらいたい。ハンドルを握るときはあらゆる人への思いやりを持ってほしい」と呼びかけている。
開催に先立ち、同支所で27日、同法人の代表理事で、24年前に飲酒運転による自動車事故で息子を亡くした鈴木共子さん(75)=神奈川県=が講演を行った。
鈴木さんの一人息子の零さんは大学に入学したばかりの希望にあふれる19歳だった。しかし、親友と帰宅途中、酒に酔った無免許運転の男の乗用車が突っ込んできて命を奪われた。零さんは事故当時、橋の歩道を歩いていたが、事故の衝撃で橋から19メートル下のコンクリートにたたきつけられ即死だったという。
鈴木さんは「亡くなった息子と対面した時、目の前にいるのが息子だと信じることができず、涙も出なかった」と当時を振り返り「誰もが事故の当事者になり得る。大切な人が明日にはいないかもしれない。車は凶器になることを『自分事』として受け止めて」と訴えた。