キャンセル待ちはなんと2000組。都会の家族が短期間、田舎で子育てをする「保育園留学」という新しい取り組みが、今注目を集めています。岐阜県美濃市にやってきた一組の家族に密着しました。
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大阪から来た瀬口さん一家。向かった先は、岐阜県美濃市の保育園。3歳の長男・日々翔くんと、10ヶ月の長女・紡希ちゃんを預けに行きます。
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実はこれが「保育園留学」で、家族ぐるみで2週間街に滞在し、子どもは地元の保育園に通わせるというもの。都会から田舎への「留学」です。
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東京のベンチャー企業「キッチハイク」が2021年に始めたこの取り組み。都会にはない自然や人とのふれあいが良いと評判が広がりました。2週間20万円からと安くはないものの、全国から応募が殺到。キャンセル待ちは2000組という驚きの人気ぶりです。
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(保育園留学を手がけるキッチハイク・山本雅也代表)「このスピードでの成長は想像を超えていたというのが正直。ただ保育園留学が新しい地域創生の形にフィットするとは思っていた」
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過疎化が進む地方にとっても、保育園留学で街を訪れる人が増えることで、ふるさと納税や将来的な移住につなげることが期待できます。受け入れている街も今や全国9カ所に広がっています。
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一家で美濃市に保育園留学をする大阪の瀬口さん。
(大阪在住・瀬口陽介さん)「違った場所と違った友達や環境で、子どもがどういうふうに過ごせるのか試したくて応募した」
長男の日々翔くんは3歳児のクラスに入りました。普段通う大阪の保育園とは園庭の広さや、緑の多さが違います。最初は一人きりで遊んでいましたが、すぐに地元の子どもたちに受け入れてもらい、笑顔も見られるようになりました。
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(美濃保育園・辻佐都美教諭)「はじめはちょっと不安そうだけどすぐに受け入れて友達になる。気にして『あの子の名前なに?』と聞いたり、地元の子の成長も感じられる」
新しい人間関係を体験することは、子どもの情操教育にも良い影響が期待できそうです。
一方、子どもたちが留学中、両親は伝統的な町並みが残る美濃市の観光名所などを満喫していました。出産以降、仕事と子育てに追われる夫婦にとって2人だけで時間を過ごせるのも保育園留学ならではです。
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(大阪在住・瀬口陽介さん)「どこかでおむつやらご飯やら、子どもを一番に考えて一日動いているので、きょうは結婚する前に戻ったような感じで楽しめてるかなと思います」
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今回は2人とも育休期間を利用したという瀬口さん夫婦。2週間という長期休暇を取れない人も少なくないため、留学期間中は市内のワーキングスペースを自由に利用でき、そこで仕事を出来るようになっています。
会社の理解があれば、休暇を取らずテレワークの形でこの保育園留学ができるのも人気の理由です。期間中、家族で滞在するのは趣のある古民家風ホテル。
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(大阪在住・瀬口陽介さん)「古民家の生活を子どもなりに楽しんでいるんじゃなかと思う。僕らはゆったりとした生活で過ごせている」
非日常的な日本家屋の趣に包まれて、ゆっくりとくつろげるそうです。
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大阪の都心から自然が広がる美濃市への2週間の留学。保育園留学の最終日には、3歳の長男・日々翔くんはすっかりクラスの人気者になっていました。夫婦にとっては、子どもたちの対人関係の成長を何より感じたといいます。
(大阪在住・瀬口陽介さん)「いろんな人と関わる中で、友達のよさなどをだんだん分かってきたと感じる。ここまで変わったんだと、その成長が僕らもうれしかった」
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(妻・瀬口三千恵さん)「自然にもたくさんふれあえた2週間だった。初めてのことに子どもは不安も大きかったと思うけど、すてきな出会いや体験をできたのが家族全員うれしかったです」
参加者には都会で得がたい体験を、受け入れる街には活気を。保育園留学は、子育て支援と地域活性化を両立する新しい取り組みとして定着するかもしれません。
CBCテレビ「チャント!」3月2日放送より