闇バイト連続強盗の指示役 フィリピン在住「ルフィ」は何者? 犯人グループ摘発のカギは

全国で相次いでいる強盗事件で、犯行グループに指示を出していたのはマニラ在住の「ルフィ」「キム」「ミツハシ」を名乗る人物たちだった。
指示役は匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて、実行役に現金の保管場所や犯行手段を伝えていたが、スマホの着信履歴にフィリピンの国番号「63」が残されていた。
昨年10月、東京都稲城市の住宅で住民に暴行を加え、現金約3500万円と金塊など約140点(時価860万円相当)を奪ったとして、20~30代の男7人が26日までに警視庁捜査1課に逮捕された。グループは被害者宅に多額の現金があることを事前に把握し、レンタカーなど車3台で逃走や強奪品の運搬をしていた。
■14件の事件に関与し30人以上が逮捕
昨年11月以降、このグループの犯行とみられる事件は少なくとも14件あり、今回、逮捕された7人のうち5人が別の事件にも関与し、これまで計三十数人が逮捕されている。
一連の犯行を計画し、闇バイトを集め、次々と実行させた指示役「ルフィ」とは一体、どんな人物なのか。
「2019年、フィリピンの入管当局は特殊詐欺に関わった日本人の『かけ子』グループ36人を拘束し、入管施設に収容しています。別件で収容されていたルフィと名乗る男は、その連中らと共謀して特殊詐欺を仕掛けていたようです。当時から賄賂さえ払えば施設内でも自由にスマホが使えた。ルフィはまだ収容所に残っているとみられています」(捜査事情通)

ルフィは1回あたり100万~150万円の報酬で、「闇バイト」を募集。ネット上では「タタキ」(強盗)の求人募集があふれているが、「闇バイト」のつもりで犯行グループに加わると、抜け出せなくなるという。
「奪った金を持ち逃げされないよう、事前にリクルーターが『闇バイト』に応じた本人だけでなく、家族の身分証まで提出させて個人情報を入手します。その後、現金の入った封筒を渡し、怪しい行動を取らないか試すこともある。仲間に引き入れたら『裏切ったら家族に危害を及ぼす』と脅して命令に従わせ、『とんこ』(逃亡)を防ぐ。一度手を染めたら最後、抜け出せなくなります。『もうやめたい』と泣きを入れようものなら、『おまえの情報、SNSで世間にさらすぞ、警察に通報する』といって次々、仕事をさせる。持ち逃げなどしたら、すべての罪をかぶせて犯人に仕立て上げる。グループを抜ける時は、警察にパクられる時です」(捜査関係者)
今回、稲城市の事件で逮捕された大古健太郎容疑者(33)は、広島市と東京・中野区の強盗事件にも関与し、奪った現金を回収する「管理役」とみられている。
「指示役からしてみれば金さえ手に入れば、誰がパクられようが知ったこっちゃない。つまり、捨て駒です。逆に言えば現金の回収にあたっては、足がつかないように細心の注意を払います。警察からすると、そこが摘発できるかどうかのポイント。奪ったカネは、必ずトップに渡る。連絡手段はどうにでもなるが、現金の移動はそうはいかない。海外送金にするのか、ビットコインにするのか、時計や貴金属は誰がどういう方法で換金するのか。一つ一つつぶしていけば、指示役までたどり着きます」(捜査関係者)
“海賊王”気取りの寄せ集め集団に好き放題やられていては、日本の警察のメンツにかかわる。