美食家が集う、銀座「肉匠ふるさと」で焼肉デート。カップル個室で距離を縮める夜―

大人のデートを極めるならやはり銀座。2024年4月に開店した「肉匠ふるさと銀座本店」は、関東で唯一、希少な広島産和牛「榊山牛」(さかきやまぎゅう)を味わえる高級焼肉店だ。

広島グルメ界で話題の「焼肉ふるさと」が東京に初進出したとあって、オープン当初から美食家たちの間で話題となっているのだが、実はカップルたちからも熱視線が注がれている。夜景を眺められるカップル個室があるからだ。ライターが現場に潜入!

○■誰にも邪魔されない、2人だけの空間

銀座8丁目にある博品館ビル。その5階の飲食フロアに「肉匠ふるさと銀座本店」はある。店内に一歩足を踏み入れると、シックで落ち着いた雰囲気。

まず目に飛び込んでくるのは右手にあるワインセラー。男女のシルエットが映り込むワインセラーの奥には、有名な高級ワインのエチケットが垣間見える。

「わぁ、あれって、超高級ワインだよね?」と女が小さく驚き、男の腕をつかんでくる。

そう、この感触が男は好きなのだ。ビジネスライクにその素晴らしさを称賛するのではなく、ごく自然に小さく喜ぶ女の声。今日は接待ではない、プライベートな夜の時間がゆっくりと動き出す。

さっそく予約していたお目当てのカップル席へ入ると、中央に焼き台が設置されたテーブルと椅子が2つ。その奥には銀座の夜景が広がっている。

女はコンパクトなプライベート個室に少し動揺した様子を隠せない。でもデートとはそういうもの。相手を少しドキドキさせるくらいがちょうど良い。

まずはシャンパーニュで夜景に乾杯! この空間でお互いに見つめ合わない男女なんているのだろうか。よく見ると、それぞれの椅子のお互いに接する側だけ肘掛けがない。肘掛けは相手の腕、ということか。こんな椅子をあえて設えた店の配慮が楽しい。

最初に注文したのは、前回、接待で来た時にとても驚いた名物メニュー「広島直送 広島和牛タンてっさ」。広島から直送した新鮮な和牛タンを、透き通るほどに薄切りした刺身。これをフグのてっさのようにポン酢で味わうぜいたくな逸品。

「フグのように牛タンを食べるなんて。」女は慎重に1切れを口に含む。タンなのにやわらかく、繊細で上品な味わい。

次に”てっさ”らしく3~4枚をまとめて箸で豪快にすくい取ってほおばる。肉の甘やかな旨みがぜいたくに広がる。興奮した女は大きく目を見開いて笑いかけてくる。
○■幻の牛「榊山牛」に舌鼓

男が「肉匠ふるさと銀座本店」に来たのは今回が2回目。前回は仕事関係者と接待で来た。その時は開放感のあるテーブル席で、銀座の高級焼肉店らしくフルアテンド。コースの肉を全て焼き師に焼いてもらった。ソムリエが丁寧にワインの説明もしてくれた。至れり尽くせり、素晴らしい会食だった。

その時の帰り際、「実は当店には割烹カウンターとカップル席もあるのですよ」と、英語と中国語が堪能なワインアドバイザーのKenさんがこっそり案内してくれたのが、今回のカップル席だった。

Kenさんによれば、予約時にフルアテンドにするか、iPad注文にするかを選べるという話だった。そこで男は迷わず、「カップル席・iPad注文」で予約したのだ。これで料理の提供時以外は、誰にも邪魔されずに、2人だけの親密な時間を過ごすことができる。

女とiPad画面をのぞき込みながら、男は特選タンやハラミなどを注文。「キューブサラダも頼まない?」と女が画面を指さしながら顔を接近させてくると、やさしい花の香りが漂った。コース料理ではなく、アラカルトにして正解だった、そう男は思った。

焼肉店なのに、この店は煙やニンニクの匂いが充満していなく、とてもエレガント。上質なファッションでオシャレに決めた日でも、洋服に匂いがつくことを心配しなくていい。

肉厚の榊山牛のタンは、噛むたびにしっかりとした弾力と旨みが広がる。先ほどのタンてっさとは別の部位かと思うほど濃厚な味わい。鮮やかな紅色をした榊山牛のハラミは、噛むほどに肉汁が広がり、滋味深い。一つ一つが芸術品のような見た目と味わいだ。

「前に接待で来た時に店の人に教えてもらったのだけれど、榊山牛ってね、広島の希少なブランド和牛で、肉の融点が16℃くらいなんだって。すぐに溶けるらしいよ。」

男がそう言うと、女が何度もうなずきながら「確かに。お肉を噛んでいると流れていく感じ。キレイにサシが入っている肉なのにぜんぜん重くなくて、とってもおいしい。」と嬉しそうに目を細める。

そして「こんな素敵なお店に連れてきてくれて、本当にありがとう。」と猫のように甘えてくる。

iPadなどに書いてある榊山牛の説明文を読んで男女は盛り上がる。「榊山牛は旨味成分の含有率が、和牛平均の約150%だって!」そう言いながら男は改めて肉をほおばる。

「広島で月に13~15頭しか生産されない、幻の牛なんだね。今度は一緒に広島にも旅に行きたいよね。」と女。未来の話にも発展し、男女の距離はどんどん縮まっていく。
○■ソムリエ常駐だから、高級ワインも安心セレクト

肉といえば赤ワインが定番。だがこの店では白ワインでも合わせてくれる。それは榊山牛の脂が上質で、重くないからできること。和牛タンてっさや、広島和牛ハラミに酸味の効いたソーヴィニヨン・ブランを合わせたのは、生まれて初めてのことだ。

サーロインやレバーなどには「マウント・ハーラン・ピノ・ノワール・ミルズ・ヴィンヤード」をおすすめしてくれた。カリフォルニアのピノ・ノワールの先駆者CALERAカレラの赤ワイン。Kenさんが丁寧なテイスティング・コメントもくれる。

「エレガントな酸味と、生き生きとした果実味が特徴です。熟した黒ラズベリー、ザクロ、マーマレード、野生のきのこ、黒こしょうなどの複雑な風味、まろやかなタンニンがレバーなどの鉄分と相乗効果を生み出します。」

2人ははグラスに鼻を近づけて深呼吸。

新鮮なレバーはあえて表面の薄皮を取っていないのでザクザクと弾ける食感。中はとろりと濃厚な味だが、鮮度がいいのがよくわかるクリアな風味。焼くと薄皮が縮むので、網の上でクルッと自然にひっくり返る。その見た目や独特の食感が、ついさっきまで生きていたレバーなのだと客に悟らせる。

榊山牛には莫大なコストをかけた特別な飼料が与えられ、通常より100日以上も長い32カ月以上かけて長期肥育される。だから赤身肉のしっかりした味わいを存分に堪能しつつも、脂のとろけるような旨みも同時に味わえる。肉本来の味わいが凝縮されている。

それを実感できるのはやはりステーキ。「ランプ」(6,600円)からサーロイン、シャトーブリアン(1万7,600円)まで揃う。この塊肉だけは焼き加減が重要だから、スタッフに焼いてもらう。

最後のデザートまで、専任のパティシエがいるのでかなり本格的。特にパッションフルーツのクリームを挟んだマカロンに、女が歓喜の声をあげた。

次々と提供される料理に、2人は驚きと喜びを隠せなかった。最初はカップル席にドキドキした男女だったが、自然と気持ちがつながり、コンパクトな個室で特別に親密な時間を過ごせた。次回はこんな銀座のデートで、濃厚な時間を過ごしてみては?

肉匠ふるさと銀座本店
所在地: 東京都中央区銀座8-8-11 博品館ビル5F
アクセス: 銀座駅から東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線→銀座駅A2出口より徒歩5分/新橋駅からJR新橋駅→銀座口より徒歩3分/東京メトロ 銀座線 新橋駅→出口1より徒歩3分
コース: ランチ13,000円、ディナー18,000円、27,000円※ランチ・ディナー共にアラカルト注文も可能
営業時間: 11:00~15:00(LO14:30)、17:00~22:00(LO21:30)
定休日: 不定休
規模: 約70坪 約60席
URL: https://furusato-ginza.jp/