「もう非常事態です…」担任不在で児童生徒を他の学級に振り分け 沖縄の公立小中21件 臨任配置できず

学級担任が病気などで休んでも代わりの臨時的任用職員(臨任)などを配置できず、その学級の児童生徒を他の学級に振り分けて統合するケースが沖縄県内の公立小中学校で21学級あることが分かった。県教育庁が24日から各市町村教育委員会に調査し、26日時点の件数を取りまとめた。
21学級の内訳は、小学校の普通学級5件、特別支援学級12件。中学校は普通学級がゼロで、特別支援学級が4件だった。県立高校では同様の事例は確認されていない。
県教育庁学校人事課の担当者は、普通学級と比べ特別支援学級の件数が多いことについて、要因は分かっていないとした上で「究明に努めたい」とコメントした。
学級統合の事例は従来確認されているが、本年度の累計などは調査していない。
県内の公立小中高校と特別支援学校では、昨年10月時点で教員が96人不足するなど、慢性的な教員不足が課題となっている。
県教育庁は、教員未配置の解消に向け、知事部局や県内教育団体に臨任の募集を呼びかけるほか、利便性向上のために、応募登録の電子申請を始めている。(社会部・松田駿太、下里潤)
■学級振り分け「苦肉の策」 市町村教委は胸中複雑
県内の小中学校で担任不在の学級の児童を他の学級に振り分けて統合している実態が県教育庁の調査で明らかになった。教員志願者数の減に歯止めがかからず、臨時的任用職員(臨任)も見つからないことが主な要因。市町村教育委員会の担当者は「本来ならやってはいけないが、これ以上は待てない。苦肉の策だ」と胸中を打ち明ける。

「もう非常事態です」。ある小学校の同じ学年で2人の担任の欠員が生じた沖縄市教委の担当者は声を落とす。年度当初は5学級でスタートしたが、産休、病休が続いた。
あらゆる人脈を使って臨任を探したが見つからず、学校とも相談して26日から一時的に4学級にした。担当者は「心苦しいが、文科省の定めた標準定員40人は超えていない。保護者にはご理解をいただきたい」と話す。
浦添市の小学校でも年明けから高学年の担任が病休になり、児童が他学級に振り分けられた。市教委の担当者は「学校行事を控え、別の教員を担任に充てるより良いと判断した。行事が終わったので週明けの30日には元の学級数に戻したい」と説明した。
那覇市内の小学校は低学年の担任が不在に。校長の判断で児童を他学級に分散させたが、市教委が「他の教員を担任に充てる方が先で、適切な対応ではない」と学校を指導。現在は校内の別の教員が担任を受け持つ。
市教委の担当者は「児童を振り分けられた学級も通常より児童数が多くなり、好ましくない」と指摘。新型コロナやインフルエンザの同時流行で休む教員もいて、「業務過多は喫緊の課題だ」と話した。(社会部・下里潤)
■しわ寄せが行くのは子どもたち
琉球大学教職大学院の村末勇介准教授(生活指導)の話 現場の窮状は理解できるが、学級の統合は対症療法でしかない。しわ寄せが行くのはいつも一番弱い子どもたちだ。根本原因である教員のなり手不足を解消するためにも、教員の仕事について社会全体の理解が不可欠だ。