『Yahoo!ロコ』でレストラン予約するようになった理由 潜む「幸せの沼」のカラクリ

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「はい、予約完了したよぉ」
鈴木家ではタイパ(時間対効果)を重視して週末に家族で食事に行く際もネット予約を頻繁に使います。もとは仕事の会食の予約が多かったのですが、いつの間にかその習慣がプライベートでも定着したのです。
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予約の際に使うサイトは特に意識して使い分けているわけではなく、『食べログ』と『Yahoo!ロコ』が半々くらい。お店の名前で検索して予約ページが出てきた方を使うというのが通常の使い方でした。
どちらのサイトも席が予約できて便利なうえに、行くたびにひとり50円のポイントがもらえます。いろいろと物価が上昇中の昨今ですから家族合計で150円分でもお得になるのは歓迎です。
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とまあこんな風に二つの予約サービスを長い間同等に扱ってきたのですが、その風向きが鈴木家では最近変わり始めました。Yahoo!ロコを使う頻度が増えてきたのです。それに気づいたのはYahoo!からのお知らせメールでした。
「【PayPayグルメ】予約値引きクーポンの有効期限が近づいています」
という内容のメールなのですが、読んでみると私は予約で使える300円の値引きクーポンを持っていて、それをあと一週間以内に使わないと失効するというものです。

いやいや以前は全く気付いていなかったのですが、食べログの予約と違ってYahoo!ロコで予約すると50円分のPayPayがもらえるだけではなくて、ランチでひとり50円、ディナーならひとり100円分の次回使える値引きクーポンがもらえる制度になっているのです。
それに気づいた後で、手遅れな失敗にも気づきました。Yahoo!ロコのクーポン履歴を確認すると、4か月前に付与された500円引のクーポンは2か月前に失効している! …オーマイガーです。このクーポン、近所のよく行くお店にランチに行くときでも予約画面で使えば500円が差し引かれる仕組みなので、単純に500円を損した気持ちです。
以前、行動経済学の話をしましたが、人間は何か得をしたときよりも何か損をする悲しみの方が大きいというおかしな特徴があります。メールで300円得する情報を教えてもらったのに、その結果知った「2か月前に500円を失っていた」という情報がもたらす悲しみで心が沈んでしまったのです。
その日から私はYahoo!ロコの予約値引きクーポンの残高をきちんとチェックするようになりました。わかったことはこの仕組み、実にうまくできているのです。
Yahoo!ロコで予約して家族でお店に行くと、その一週間後に100円とか300円とかの値引きクーポンが届きます。そしてここがうまいところですが有効期限が60日あるうえに別の予約をすると値引きクーポンがそこに加算されて合計して使えるようになります。

そうしているうちに予約の期限が近づきメールが届いてその事実を知るわけです。
「あと一週間で値引きクーポンが失効します」
ということであわてて調べるとクーポンが600円分ぐらい貯まっていたりします。それで週末はYahoo!ロコで予約をして家族でレストランに出かけたりするわけです。
こうして私はYahoo!ロコを無限に使い続けることになったのですが、これは行動経済学を利用した集客の仕組みとしては実に理にかなっています。
利用者は損をしたくないのでどんどん使い続ける。その結果、飲食店から見れば利用者がどんどん増える。そうなってしまったら飲食店ももうYahoo!ロコの予約システムを使い続けないわけにはいかないのです。
世の中の経済の「沼」というのはこのように実にうまくできているのです。

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は飲食店のオンライン予約に仕掛けられた「よく考えられた仕組み」についての解説でした。
(文/鈴木貴博)