たった一人の卒業式 学区外から通い続けた“唯一の6年生”涙と笑顔で…過疎の小学校は「少人数教育」一日がアルプホルンで始まる

愛知県新城市の小学校で卒業式が開かれました。この学校を巣立ったのは、今泉颯斗くん(12)。たった1人の卒業式です。
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新城市立鳳来東(ほうらいひがし)小学校。全校児童10人の小さな学校です。3月20日は卒業式。たった1人の6年生、今泉颯斗くんが学び舎をあとにします。(今泉颯斗くん)「4年間通ったこの鳳来東小学校を巣立っていきます」
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3年生で転校してきた颯斗くんは、少し離れた自宅から、毎日この学校に通っていました。
学校があるのは新城市の山あい。地元の木で作ったアルプホルンの演奏で1日が始まります。
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(今泉颯斗くん)「5年生とぼくと同じクラス。6年生はぼく1人」人数が少ないので、授業は5年生と一緒です。最年長の颯斗くんは、休み時間は年下の子ども達と一緒に、サッカーで汗を流します。
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(5年生)「すごく元気で、1年生を世話しているから、結構みんなで遊んだりしている」「6年生がいないってなると、学校って感じがしないし、“はやちゃん”が来てくれてよかった」
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自宅は、学校からおよそ25キロ離れていて車で40分かかります。(新城市立鳳来東小学校6年今泉颯斗くん)「電車に乗って野田城(最寄り駅)まで帰ります」
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普段はお母さんが送り迎えしてくれますが、難しいときは電車で帰宅。この日は、45分かけて家に帰りました。なぜこの学校を選んだのか、颯斗くんのお母さんに聞いてみると…(颯人くんの母 貢奈さん)「私も複式学級だったし少ない人数で学校に行っていたので、一人一人を見てもらえるかなと」

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過疎化で児童数が減ってしまった鳳来東小学校では、「特認校制度」が始まりました。少人数のよさをいかし、一人一人に応じた教育を目指すこの制度では、学区以外の児童も転校が認められています。
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颯斗くんは、川遊びや田植えを体験し、のびのびと成長しました。(新城市立鳳来東小学校6年今泉颯斗くん)「(この学校に)来て良かったです。おもしろい友達もいるし毎日が楽しい」
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この制度がなければ「卒業式」も、4月の「入学式」もありませんでした。(新城市立鳳来東小学校 牧野吉信校長)「(令和5年度)学区には1年生がゼロなんです。特認校で本校へ来ようという子がいまして、4月の入学式をやることができる、そうでなければ入学生がゼロということになります」
颯斗くん、近くの山から木を切ってきて皮をはぎ、およそ1か月かけて卒業証書を一から自分で作りました。
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いつも送り迎えしてくれた、お母さんとともにやってきた颯人くん。卒業式の日は、やはり「特別」。中学校の制服を着て、まだちょっと落ち着かない様子です。(新城市立鳳来東小学校6年今泉颯斗くん)「この鳳来東小学校で学んだことをいかし、歩み続けていきます」卒業生代表の長いセリフ。直前まで1人で練習します。Q頑張れそう?「頑張ります!」午前9時半、颯斗くんを送り出す、「たった一人の卒業式」が始まりました。

自分ですいた卒業証書。在校生1人1人からメッセージを受け取ります。(在校生)「優しくしてくれて嬉しかったよ、いっぱい遊んでくれてありがとう」
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そして、颯人くんによる卒業生代表の言葉です。(新城市立鳳来東小学校6年今泉颯斗くん)「お母さんは優しくて、自慢のお母さんです。毎日送り迎えしてくれてありがとう」
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およそ5分間にわたり1人でしゃべりきりました。最後は、いつものアルプホルンの音色で、旅立ちです。(颯人くんの母 貢奈さん)「自分らしく笑顔でいてくれたら」Qどんな中学生になりたい?(卒業生今泉颯斗くん)「優しい中学生、けんかのない中学生」
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4月からは、隣の愛知県東栄町の中学校へ。「笑顔」で、新しい生活が始まります。