世界の空港ランキングで何度も1位に輝くシンガポールのチャンギ国際空港は、ネット上では「世界一寝やすい空港」とも呼ばれています。実際に一夜を空港で明かしました。
シンガポールの空の玄関口、チャンギ国際空港。東南アジアが誇る超巨大空港であり、かつ世界トップクラスの乗り継ぎ空港です。この需要に対応すべく、空港には待機時間を過ごせるような工夫が多く存在し、航空格付け会社のスカイトラックスが発表する「世界で最も素晴らしい空港」では何度も1位に輝いています。
チャンギ空港はその特徴から、長時間の待機をする乗客が”仮眠”もしやすい施設づくりがなされており、ネット上では「世界一寝やすい空港」と呼ばれています。実際に、同空港で一晩過ごしてみました。
「世界一寝やすい空港」→だったら野宿余裕!? 世界最高峰の乗…の画像はこちら >>チャンギ国際空港(松 稔生撮影)。
まず向かったのは、第2ターミナルE7搭乗口付近にある仮眠スペース「オアシス」。40席を超えるリクライニングチェアが多く並び、なかには充電設備を備えた席もあります。このほか、同ターミナルには少なくとももう1か所、免税店やラウンジ、レストランなどが入居する中央エリア付近にリクライニングチェアが並べられたエリアがありましたが、こちらは常にすべてのチェアが埋まっている状態でした。
「オアシス」は照明も暗く設定されており、まさに「寝かせに来ている」状況。深夜1時頃は全席が埋まっているわけではありませんでしたが、充電スペースのあるチェアは限られていて、そこが争奪戦になっていました。ひとまず充電スペースがない席で過ごしてみます。
チェアの寝心地は全く悪くありません。荷物を取られないように寝なければ……という意味での警戒は必要ですが、椅子が硬いこともなく暗さもバッチリ。多分、荷物がなければ“即寝”できます。
こうした場所で気になるのが“音”でしょう。室内ではクラシック調の空港BGMが小さく流れ、静かな空間がつくられています。喋る人、電話をする人、音を出してYouTubeを視聴している人もいましたが、ほとんどの人は場所を配慮しているのか、非常に小さな音量でした。
この日は早朝4時台にインド方面の国際線が複数、同ターミナルから出発することもあり、インドからと思われる人の姿が多く目立ちます。なかには、空港での仮眠を念頭に入れているのか、カーペットや毛布など大きいグッズをもってきて、そこで眠りにつく姿が目立ちました。
しかし、午前3時30分ごろ、保安官がやってきて、このエリアで寝ている人を起こし、パスポートと搭乗券を確認しました。もしここで出発便の搭乗券を持っていない場合は、このエリアから追い出されるというわけです。
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朝4時ごろのチャンギ国際空港の様子(松 稔生撮影)。
そのタイミングにあわせて一般エリアに出てみました。一般エリアはところどころ、絨毯が敷かれている場所があり、そこで多くの方が雑魚寝しています。この時間だと、新たにこのエリアで睡眠スペースを確保することは難しそうです。
チャンギ国際空港には4つの旅客ターミナルのほか、空港内の商業施設「ジュエル(JEWEL)」が存在します。旅客ターミナルは各所に寝やすそうな場所が用意されていますが、このような状況だったため、いったん「ジュエル」に向かいました。しかし、この時間に空いている店舗はカフェのみで、そこで時間を潰すしかなさそうです。
ターミナル内の飲食店のなかには、深夜でも空いているところがあります。たとえば第1ターミナルの「バーガーキング」です。ここは、物価の高いシンガポールでも日本円にして1000円以内で朝食を食べながら時間を潰すことができます。
なお、第1ターミナルにおける他の飲食店の24時間営業店舗に関しては、10シンガポールドル(約1110円)を大きく超えてくるので、寝ずに安く朝まで過ごすなら「バーガーキング」のようなファストフードが選択肢になります。
このほか、同空港の第3ターミナルの制限エリアには、無料で見られる24時間営業の映画館があるほか、第1ターミナルの最上階にはジャグジー付きのプールも設置されています。この空港は「世界一寝やすい空港」とされるだけではなく、「世界一長く過ごせる空港」ともいえるのかもしれません。