食は、生きるために欠かせないものであり、生活を彩ってくれる文化でもあります。
しかし、調理方法や食材の間違いによって、時には命の危機にさらされることも。その代表が、食中毒でしょう。
細菌やウイルスといった有毒な物質が含まれた食材を口にすることで、激しい腹痛や吐き気などをもよおす、食中毒。最悪の場合は、命を落としてしまいます。
2023年3月20日、茨城県はウェブサイトで、県内で発生した食中毒にまつわる事例を報告。
同月18日、県内の保健所に「カレーを食べて食中毒の症状を起こした患者がいる」と連絡が入ったといいます。
よほど状態が悪くない限り、一般的なカレーのレシピには、食中毒を引き起こすような食材は含まれていません。
にもかかわらず、カレーを口にした4人中3人が食中毒の症状に襲われた理由…それは、食材の勘違いでした。
茨城県の報告書によると、保健所の調査の結果、カレーを作る際にスイセンの球根を使用していたことが発覚。
カレーを食べた一家は、観賞用として他者からもらったスイセンの球根をタマネギと勘違いし、調理をしてしまったといいます。
スイセンの球根
タマネギ
御覧の通り、スイセンの球根とタマネギは見た目が似ています。
スイセンは有毒の植物ですが、中でも球根の部分は毒成分が多く、リコリンなどのアルカロイドが含まれているのです。
主な中毒症状は嘔吐や下痢。口に含んだおよそ30分後に発生されるといわれており、恐ろしいことに、海外では死亡例も報告されています。
今回の件でも、カレーを口にした人たちは、食事を開始してから15分ほどで症状に襲われ、検査の結果リコリンが検出されたとのことです。
スイセンは全体が有毒の植物であるため、葉の部分にもリコリンなどが含まれています。そして、ニラに酷似していることでも有名です。
過去には、スイセンの葉をニラと勘違いして口にしてしまい、食中毒を引き起こした事例も。各自治体は、ウェブサイトなどで注意喚起を行っています。
スイセンの葉
今回の件を受け、ネットでは「スイセンがそんなに危険だなんて知らなかった。これは怖い…」「自分も間違えそうだから注意をしよう」といった声が続出。
茨城県は食用と確実に判断できないものについて「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」と徹底を呼びかけました。
時には、親切心で他者から食材をもらうこともあるでしょう。その際は、料理に使う前にしっかりと確認をしたいですね。
[文・構成/grape編集部]