税務調査が入るのは“お金持ち”だけではない? 元国税局芸人が教える「脱税」と「節税」のボーダーライン

給料からは所得税や住民税が引かれ、ものを一つ買うにも税金がかかる。6月には「定額減税」が実施されたが、一方では国民の代表となるべき政治家による裏金問題が噴出。「税金なんか払いたくない」と思う人がいてもおかしくないかもしれない。
東京国税局に勤めていた芸人・さんきゅう倉田氏の元には、税金を“減らす”方法を聞きに来る人が多くいるという。実際にそんな方法はあるのだろうか。
※この記事は、さんきゅう倉田氏の著作『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』(学研)より一部抜粋・再構成しています。
「税金を減らす方法」は教えられない!?「税金を減らす方法を教えてください」
よく聞かれることですが、その質問にはお答えできません。そのような税務相談を税理士以外の人が行うと、たとえ無料であっても違法になるからです。
一ついえることは、お金に関する制度を知ることです。
税金をごまかすことはできませんが、税の優遇制度(※)を利用することは可能です。そういう制度が用意されているのに利用しないのは、明らかに損でしょう。
※たとえば、iDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)です。
脱税と節税はまったく違う支払う税金を少しでも減らしたいと思うのなら節税をするべきですが、ルールに則って行わなければいけません。手元にお金を残したいからといってルール違反をすると、「脱税」になってしまいます。
脱税と節税は明らかに違います。少しでも納める税金を減らすという目的は同じですが、法律の範囲内でできるだけ納める税金を減らすのが節税、法律を逸脱して納める税金を減らすのが脱税です。
正しい申告をしていれば何の問題もない脱税で圧倒的に多いのは、売上の除外と経費の水増しです。
売上の除外は、本来は計上しなければいけない売上を意図的に申告しないですますことです。
経費の水増しは、経費を意図的に増やしたり、本来は存在しない経費を勝手につくったりすることです。
万が一脱税が発覚した場合は、重いペナルティーが科せられます。
税務調査についてもひと言。
税務調査が入るのは一部のお金持ちだけと思っている方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえ少額でも売上を隠した事実が判明すれば徹底的に調べられ、延滞税や加算税の対象になることもあります。そうなると、本来納める税金に延滞税や加算税が追加され、結局、支払う税金が増えてしまうことにもなりかねません。
高い税金を好きで納めている方はいないと思います。税金は必要なものだから支払っているだけです。合法的な範囲で節税をすることが大切になります。