千葉県東金市の地域中核病院「東千葉メディカルセンター(MC)」の事務委託契約を巡り、業者に便宜を図った見返りに現金30万円を受け取ったとして、県警は28日、収賄の疑いで東京都江東区千石2、元センター医事課長代行、藤田信治容疑者(41)を逮捕した。センターの不適切運営に絡んだ元職員の逮捕は3人目。県警は不正が常態化していたとみて、引き続き全容解明を進める。
県警は捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、贈賄側は元センター総務課長に賄賂を渡したとして、同日贈賄罪で起訴された千葉市美浜区の医療事務会社「メディカルサポート」の社長とされるが、同罪の3年の公訴時効が成立するため逮捕されなかった。
逮捕容疑はセンター医事課長代行だった2019年2~3月、センターの事務委託契約の受注先選定などを巡り、特定の医療事務会社に便宜を図った見返りに同社の役員から現金30万円を受け取った疑い。
センターなどによると、同社は18年5月、センターから医療事務を月額910万円の随意契約で受注。その後も医療事務を追加で請け負い、昨年3月までに事務委託料名目で約12億7千万円の支払いを受けていた。
県警捜査2課によると、容疑者は18年3月にセンターに採用された。翌月から医事課長代行を務め、事務委託契約の決定に関する職務権限を持っていたとみられる。センター内で現金を受け取っていた。容疑者は22年に退職した。
収賄容疑で元職員が相次ぎ逮捕されたことを受け、センターの河野陽一理事長は「地域住民や患者の信頼を著しく失墜させることになり誠に遺憾で、心からおわび申し上げる。引き続き捜査に協力し、事実の解明に努める」とコメントを出した。