成田空港の“進化”方針まとまる 「新ターミナルに全旅客便乗り入れ」のメリット その”建設予定地”とは

45年前とは成田の使い方もだいぶ変わってますからね。
成田空港を運航するNAA(成田国際空港)が、旅客ターミナルの再構築などを主題に掲げ設置された『新しい成田空港』構想検討会の中間構想取りまとめを発表しました。ここでは、現在構想が進められている旅客ターミナルを1つに集約する「ワンターミナル」の施設整備について、その設置場所を始めとする、当初より具体的な計画が盛り込まれています。どのようなものなのでしょうか。
成田空港の“進化”方針まとまる 「新ターミナルに全旅客便乗り…の画像はこちら >>成田空港を離陸する旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。
2023年現在の成田空港の旅客ターミナルは3つに分かれています。このターミナル構成は、個々のターミナルがコンパクトで旅客の歩行距離を短く抑えられ、同一ターミナル内での乗継もしやすいほか、アライアンス(航空連合)や航空会社ごとにターミナルをカスタマイズすることが容易とのこと。
加えて、各旅客ターミナルが独立しているため、旅客ターミナルごとの閉鎖を伴う大規模改修や新しいシステムの導入などが容易であり、独立していることでイレギュラー時の冗長性確保にも優れているという特徴を持つといいます。
しかしながら同検討会は、現在のターミナル構成について「成田空港のコンセプトや施設配置は半世紀以上前に決定されたものであり、施設を分散する非効率なレイアウトは旅客の不便や航空会社にとって非効率な運用につながっている。航空ニーズの変化や施設老朽化への対応とあわせ、閉鎖を伴う大規模改修や建替え等の抜本的な再構築が必要な状況にある」としています。

その一方で、『新しい成田空港』構想検討会で計画されている「集約ワンターミナル」は、「成田空港の目指すべき旅客ターミナルの姿である国際ハブ空港というコンセプトを実現するには、わかりやすさ・乗継利便性・効率性・柔軟性という特徴を有する集約ワンターミナルに優位性がある」としています。
同検討会によると「集約ワンターミナル」は「まず建物が一つであるため、旅客にとってシンプルでわかりやすい。また、ターミナルを跨いだ乗継がなく、全ての乗継を同一ターミナル内で完結できるため、ハブ空港として重要な乗継利便性が高い」ともっとも大きなメリットを紹介。
さらに、「機器や人的リソースを同一ターミナル内に集約できるため、共用化により効率的な運用が可能になるとともに、分散ユニットターミナルに比しターミナル全体としてはよりコンパクトな規模で同等の取扱能力を実現できる」「航空会社の多様な提携や規模の変化に柔軟に対応することも容易である」特徴があるとしています。
その一方で、課題としては「歩行距離の長大化により生じる負担の軽減」「国際線と国内線の乗継についての適切な検討」「保安検査場や到着ロビー、旅客ターミナル周辺の駐機場などの混雑が生じやすい施設や機能については、ワンターミナルとすることで混雑が重ならないよう、留意することが必要」としています。
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2018年4月現在、成田国際空港は1100ヘクタール超の敷地に、2本の滑走路が走る(画像:成田国際空港)。
そのような成田空港の新ターミナルは、現在の第2ターミナル南側を建設候補地として検討が進められています。この理由については「滑走路の配置とバランスの取れた位置にあること」「程度まとまりのあるエリアが確保可能なこと」「既存ターミナルの運用を継続しながら段階的な整備が可能なこと」「アクセス機能(鉄道・道路)の接続が可能なこと」が掲げられています。
なお、新ターミナルの建設については既存旅客ターミナルを運用しながら段階的にワンターミナルへする計画も公表されています。