ウクライナ軍 供与された「万能装甲車」の様子を公開 扱いやすいが実は難点も?

不満な部分もあり?
ウクライナ国防省の公式サイト「アーミーインフォーム」は2024年10月22日、スロベニアから供与された装輪装甲車「ヴァルク」を前線部隊が使用している様子を公開しました。
ウクライナ軍 供与された「万能装甲車」の様子を公開 扱いやす…の画像はこちら >>スロベニア軍の「ヴァルク」装輪装甲車(画像:パブリックドメイン)。
同車両は、オーストリアのシュタイアー・ダイムラー・プフが設計した装輪装甲車「パンデュールI」をスロベニアが自国向けにライセンス生産したものです。 12.7mm機関銃または40mm自動てき弾(グレネード)発射装置を搭載できるほか、「Cardom」120mm迫撃砲を設置し自走迫撃砲化も可能な装甲車となっています。また、内装の変更で装甲救急車や指揮通信車、車両の回収・修理車として使うことも可能です。
同車両は、2023年4月にスロベニアからウクライナに約20台が供与されたとの報道がありましたが、その後、どのような使われ方をしているのか詳細は明らかになっていませんでした。
公開された車両は、第44機械化旅団が運用しているもので、司令官用の指揮通信車として使われています。兵員用の座席は6席ではなく4席に変更されています。車両の訓練はドイツの訓練場でスロベニア人指導官の下で行ったようです。
現場の兵士は、同車両の印象を「グレネードランチャーを積んだ軽装甲タクシー」と評します。対人地雷から守る底面装甲と12.7mmの機銃弾に耐える正面装甲を有し、メンテナンスに関しても面倒はなく、かなり扱いやすい車両とのことです。
ただ、機関やてき弾発射装置を設置する銃座に関しては、上半身が装甲に完全に隠れないため、ドローン攻撃の多いロシアとの戦闘では、かなり危険な状態とのことでした。そのため、ウクライナ軍は同車両を主に兵員の輸送や避難などに使い、戦闘には積極的に投入していないようです。