与党が過半数割れしたことで、今後注目されるのが野党との連携。中でも、存在感が高まっているのが、公示前の4倍となる28議席に伸ばした国民民主党だ。キャスチングボートを握る戦略が当たった玉木雄一郎代表は、自公と立憲民主党の双方をてんびんにかけるかのように「政策本位で良い政策には協力する」と等距離を保つ。
政治評論家の有馬晴海氏は「立民と組んでも法案は通らないので、自民と近づくだろう」と指摘。ただ「自民関係者から玉木氏へ『連立を組もう』という持ちかけはあるというが、現時点で玉木氏は連立を組むつもりはない」とみている。「選挙で対立して戦っておいてすぐに合流するのは有権者の目もある。恋愛でいうと、自民の求婚を国民が振っている状況だ」とした。
現時点で与党の議席数は218。国民の28議席を足せば、過半数の233を超える。国民としては2月に自公との協議を打ち切り、進展できなかったガソリン税引き下げの「トリガー条項」凍結解除など「実現したい政策を自民にのませ、その代わりに自民の政策多数決に加担するなど交渉できる状況にある」と有馬氏。「党として『高く売る』ために連立を組まず、各論ごとに自民が頭を下げるような協力関係を取る可能性のほうが高い」と推測した。
玉木氏は民放番組で、国会での首相指名において1回目の投票で過半数を得た候補がおらず、決選投票にもつれた場合「無効となっても玉木と書く」と強い意志を示した。一方で、自民との連携に関する協議について「幹事長レベルで一定の接触をしているとの報告を受けている」とも述べた。28日に行われた会見で石破氏は政党名こそ挙げなかったが国民に秋波を送った。これを受け、玉木氏がどのような関係を築くかが焦点となる。