裁判員には重い判断…“殺人と窃盗”か“強盗殺人”か 夫婦殺害され財布奪われた事件で“2度目の裁判員裁判”

名古屋市南区で6年前、80代の夫婦が殺害され財布が奪われた事件の差し戻しの裁判員裁判裁判について、争点を整理します。 松井被告が夫婦を殺害し、財布を持ち去ったこと自体は争いがありません。争点となるのは「当初から強盗目的があったか」です。 検察側は、松井被告には借金やスナックでの「ツケ」があり、金に困っていたことや、被害者の家の車庫にあった車なども物色しているため「強盗目的はあった」としています。 それに対して、弁護側は「強盗目的はなかった」と主張しています。犯行前に被害者から嫌味を言われて怒りを覚えたことから殺害に及んだもので、財布は衝動的に取っていってしまっただけと主張しています。 この点について、一審の裁判員裁判では弁護側の主張を支持し、殺人と窃盗に当たるとしましたが、二審の名古屋高裁は一審の判断は誤りとして差し戻しています。 異例の経緯をたどった裁判ですが、強盗殺人が認められた場合の量刑への影響について、南山大学の丸山雅夫名誉教授に聞きました。
丸山名誉教授は「強盗殺人罪では死刑か無期懲役しかなく、被害者が2人となれば、検察が求める死刑判決の可能性も十分に考えられる」としています。 一方で、今回は自首の成立が認められていて「被告人に有利な事情であり、無期懲役に減軽されるケースもあり得る」ということです。 いずれにしても、裁判員は重い判断を迫られることになります。