《激戦の舞台裏》12期務めたベテラン不在”星野票”巡り…最多4人擁立の自民内で票の奪い合いに【新潟】

4月9日に投開票された新潟県議会議員選挙。中でも長岡市三島郡選挙区は8人が6議席を争う激戦となりました。自民党の新人2人の戦いを中心に激戦の舞台裏をお伝えします。

長岡市三島郡選挙区は今回、自民党から現職2人と新人2人が、公明党からは現職が出馬。一方、野党は、立憲民主党の元職、共産党の現職、社民党推薦の無所属の新人の合わせて3人が立候補。定数6に対し、8人が議席を争う激戦となりました。

【自民・星野伊佐夫県議】
「私は県議選には出馬しないことになろうかと思います」

泉田裕彦衆院議員に裏金問題を告発された星野伊佐夫県議が今期限りで引退することを受け、自民党長岡支部は去年、いずれも長岡市議の深見太朗さん荒木法子さんの新人2人を擁立することを決定。

その結果、現職が3人だった自民からは過去最多の4人が出馬することに。県議を12期・45年務めた星野さん不在の選挙戦で、票の行方が注目されました。

その星野さんが後継指名したのが…

【自民・星野伊佐夫県議】
「(長岡が発展する)この基盤を、これから私の後を受けて、太朗君からやってもらいたい」

県議選を初めて戦う深見さんでした。出陣式のあとにはさっそく星野県議からげきが飛びます。

【自民・星野伊佐夫県議】
「太朗。ここはもう短時間にして、すぐ、ふるさとに行けよ」

【自民・深見太朗氏】
「わかりました」

中越高校野球部出身の甲子園メンバーで体力には自信があったはずの深見さんですが、選挙戦の中盤には疲れを口にする場面も。

【自民・深見太朗氏】
「体中が張ってきている感じがありますけど、背中ですね。なぜか背中が」

また、課題も改めて感じていました。

【自民・深見太朗氏】
「とにかくまだまだ知名度が足りないですし、顔と名前をまだまだ広げられていないので」

それでも深見さんは街頭演説や個人演説会、その合間に企業を回り、支持拡大に奔走。裏金問題を告発され、自民党を離党しても、なお大きな影響力を誇る星野県議も応援を重ねました。

【自民・星野伊佐夫県議】
「私はこの人の伸びしろ、将来性にものすごく惚れております。こういうタイプがいいんですよ、議員というのは」

【自民・深見太朗氏】
「(星野県議から)色々ご指導頂いているし、お力を借りている部分もあるので、支援としては大きいと思ってます」

一方、星野県議と一線を画したのがもう1人の新人・荒木法子さん。

【自民・荒木法子氏】
「チラシ、リーフレット、すべてのものに入れた言葉は『声を力に』です。声を力に、声を力にしっかりと長岡、新潟を盛り上げていきたいと思います」

市民の声を行政に届け続けてきた市議時代の実績を訴えるとともに、他候補との差別化を図りました。

【自民・荒木法子氏】
「私は保守系の議員の中で、唯一の(長岡市の)川東のまちなか出身です。唯一、現役の子育て世代です。そういった自分の特長をしっかりと打ち出していく」

そんな荒木さんの支えは家族!

【自民・荒木法子氏】
「また夜、会おうね。バイバイだね」

声のかれた荒木さんを2人の子どもが見送ります!そして当選への強い決意を抱く理由も家族にありました。

【自民・荒木法子氏】
「『うちのお母さんがお世話になりました』って話してきたよ」

前々回(2015年)の県議選で、約370票差で敗れた母・松川キヌヨ元県議の思いを受け継ぐためです。

【自民・荒木法子氏】
「地域の方に母は支えていただきました。その支えていただいた恩返しをしたいという気持ちはすごくあります」

新人が奮闘する一方で、旧長岡市の自民関係者から聞かれたのは、「前回トップ当選の柄沢さんが票をとりすぎるのではないか」という懸念の声。

柄沢さんは今回、星野県議が地盤としていた旧長岡市内でも積極的に活動したからです。

【自民・柄沢正三氏】
「今までは私と星野先生の間に、お互いのもともとの選挙区は遠慮しようという暗黙の紳士協定みたいなことがあったんですが、それはもうなくなって、もう私も旧長岡、思い切ってあいさつ回りをさせてもらってるところです」

過去最多4人の候補を擁立した自民党で身内同士も票の奪い合いを展開する中、存在感を示したのが衆議院の新潟4区で新たに支部長となった鷲尾英一郎衆院議員です。

4人の候補、全員の応援にそれぞれ複数回入り、支持を呼びかけました。

【自民・鷲尾英一郎衆院議員】
「とにかく仲間を1人でも(多く)当選させようと思っているので、全力で選挙に取り組みたいと思います」

一方、新4区から出馬する意向を示している泉田裕彦衆院議員ですが、今回の県議選で目立った活動は見られませんでした。

さまざまな思いが交錯した県議選も最終日。

【自民・深見太朗氏】
「本音を言わせていただくと、勝ちたいです。恩をしっかり返していきたい」

【自民・荒木法子氏】
「選挙が本当に厳しいです。本当に厳しい。みなさん、ぜひお力を貸していただきたいと思います」

そして、新人2人に訪れた結末は…

【自民・荒木法子氏】
「(母の)リベンジ果たせたね」

深見さんは3位、荒木さんは4位で初当選を果たしました。

【自民・荒木法子氏】
「働いている女性、子育てをしている男性も女性も、子育てのしやすい環境をつくっていくのが私の役割だと思っています」

【自民・深見太朗氏】
「長岡のこの地域からの県議なので、当然、地元・長岡の発展というところに力を入れていきたい」

激戦を勝ち抜いた2人。有権者の付託に応える活動が求められます。