くら寿司、旬の地魚を出す『くらの逸品シリーズ』をスタート – 目指すは回転寿司の二刀流!?

くら寿司では4月15日から”地元の旬の地魚”を地域限定で毎週提供していく『くらの逸品シリーズ』をスタートする。一皿240円。まずは全国の約360店舗で開始し、順次拡大する。担当者は「大手回転寿司チェーンとご当地回転寿司、双方の良いところを取り入れた『二刀流の回転寿司チェーン』を目指していきたい」と意気込んだ。

○■地産地消から地魚地食へ

くらの逸品シリーズは、地域の漁業者 / 水産会社 / 店舗が連携した取り組み。全国を22のブロックに分け、各地域の漁港で水揚げされた地魚を各拠点の水産加工場(全国14か所)で加工し、地域内の店舗にて数量限定でメニューに出す。まずは、全国8ブロック18都道府県(約360店舗)で販売をスタートするが、2023年8月には全国530店舗以上での販売を目指していくとしている。

くら寿司 取締役副社長の田中信氏は、競合他社との差別化において「地域でしか食べられない魚」を使った新鮮な寿司ネタの必要性を感じたという。そこで、同社が2010年から推進する「天然魚プロジェクト」を活用。全国116の漁港・漁協と直接取り引きしながら、地域で獲れた魚を地域の顧客に提供し、それが地域の漁業者の支援にもつながる”国産天然魚エコシステム”をまわしながら『くらの逸品シリーズ』を提供していく体制を整えた。

田中副社長は「各地域の漁場で水揚げされた天然魚を最寄りの加工場でさばき、各店舗に配送します。これは飲食業界の”流通革命”。全国一律販売が主流の大手回転寿司チェーンにおいて、このような流通構造は初の試みではないでしょうか」と胸を張る。そして大手回転寿司チェーン×ご当地回転寿司の良いとこどりの『二刀流の回転寿司チェーン』により、回転寿司の新領域に突入していきたい、と言葉に力を込めた。

ちなみに、その週にその地域で何が獲れるかは誰にも分からない。それを逆手にとり「毎週違う旬の地魚を楽しむことができる」ことも売りにする。なお各地域の店舗が運営するLINE公式アカウントでは、その週に水揚げした魚を使ったメニューをリアルタイムで利用者に告知していく考えだ。

くらの逸品シリーズの導入により、1.原材料の調達と商品の供給を安定化し、2.他社とは差別化して顧客満足度は向上、3.新規顧客の獲得にもつなげて来店頻度を増加させ、4.天然魚プロジェクトも加速できる、と田中副社長はメリットを挙げる。最後は「テーマは地魚地食(じざかなじしょく)です。日本の魅力的な国産天然魚を国内で積極的に消費する、未来に向けたこの取り組みにより漁業者様と共存共栄し、ひいては日本の漁業創生にも貢献していけたら」とまとめた。
○■漁業関係者も期待

続いて、くら寿司 商品本部購買部の大濱喬王氏が「商品提供の流れ」について説明した。それによれば毎週、木曜日に販売する魚種を確定して各グループの水産加工会社に納入、金曜日に各店舗がSNSでメニューを告知して、土曜日には各店舗に納品、週末に販売していくという。

このあと、全国の漁業関係者のコメントも紹介。「(くらの逸品シリーズにより)仕入れの幅が広がり、さまざまな魚種を取り扱えるようになるのが嬉しい」「10人中10人が美味しいと言うエビを、より多くの人にも食べてもらえる」「まずはくら寿司の店舗で美味しい魚を食べてもらい、次は地域にも来てもらえたら」など、多くの漁業関係者が期待感を口にしていた。

今後の展開について大濱氏は「協力いただける漁業者様、水産加工会社様を拡大していくことで、毎週の提供回数、1回あたりの魚種を拡大していきたい」と説明。また現段階で、くら寿司で提供している国産天然魚は約30種類だが、これを本年度中に約130種類まで増やしていくとした。

近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら