先日この連載で「くじらベーコンエッグ」というレシピをご紹介しました。説明するまでもなく、「ベーコンエッグ」をくじらベーコンで作ってみたらどうなんだろう? という、いわゆるダジャレ的な発想から生まれたメニュー。
その舌の根も乾かぬうちに、また似たようなレシピを思いついてしまったんですよ。それが今回の「生ベーコンエッグ」。
きっかけは先日、別のお仕事で読者の方から、「生ベーコンがおつまみにいいですよ」と教えてもらい、それを試してみたことでした。
そもそも生ベーコンとは、大まかに説明すると、豚ばら肉を塩漬けにし、熟成&乾燥させたもの。イタリア語では「パンチェッタ」。そのまま生でも食べられられ、パックのものを買うと、あらかじめ適度な大きさにカットされていて、爪楊枝で刺して気軽につまみにするのに最高だったんです。
ということはここに生玉子を加えれば、火を使わずに簡単に作れてそのまま食べられる、生ベーコンエッグが作れるじゃん! と、思いついたわけで。
○材料を混ぜるだけ
では作っていきましょう。
まずは器に入れた生ベーコンに生玉子を加えますが、白身まで入れてしまうと水っぽくなることが予想されるので、卵黄のみを。
黄身が赤いことが売りの「紅雫」という玉子を買ってみたら、本当に色が濃くてびっくり。
で、これのふたつをただ混ぜるだけだといくらなんでもだし、食感もいまいちおもしろみに欠けることでしょう。ただ、きゅうりやごま、コチュジャン系の味を加えていったりすると、どんどんユッケに近づいてしまう。今回は洋風で攻めたい。そこで思いついたのが、きのこ類のなかでは珍しく生食が可能な「マッシュルーム」!
なるべく新鮮なマッシュルームを、食感に幅を出すため、あえてざくざくっと荒いみじん切りにし、これも混ぜていきましょう。その際、オリーブオイルもひと回しほど加えて。
混ぜながら、塩加減や味加減を見つつ卵黄をさらに追加したりして、個人的に良いなと感じたバランスは、一般的な生ベーコン1パックに対し、卵黄ふたつ、マッシュルーム(軸もつぶして入れる)3つという感じでした。まぁ、そのあたりはお好みでいいんですが。
よく混ざったら、ひと手間かける気力が残っている場合は別のお皿に盛りつけ直しましょう。残っていなければ、混ぜた皿からそのまま食べても可。
で、コショウでもふって食べれば、そりゃあもう間違いない美味しさですよ。ただ、せっかくなのでもうちょっと料理っぽく、粉チーズや、色味を考えて乾燥パセリをふってみたり。まぁ、ハーブ類なんかは、なにを合わせても基本間違いないような気がします。お好みであれこれやってみてください。
そもそもがとろりとした食感の生ベーコンに卵黄のねっとり感が加わった官能的な舌ざわり。ストレートな豚の旨味に、マッシュルームの爽やかな風味とコク、さらにサクサクっとした独特な食感も加わり、それでいて、生ベーコン自体の強めの塩気は、食べやすく穏やかになっている。こりゃあ、永遠にワインが飲めるやつですわ……。
無論、バゲットやクラッカーとの相性も抜群。特に、本体の食感がまったりとしているので、トースターやフライパンで軽く焼いてカリッとさせたバゲットにのせると、も~たまりません!
あ、ちなみに「残った玉子の白身はどうする?」問題ですが、捨てちゃうなんてもってのほか! 僕のおすすめは、シンプルに「白身だけ目玉(目玉じゃないけど)焼き」もしくは、「白身だけオムレツ」ですね。どっちも普通~にうまいので、合わせておつまみにどうぞ。
○【材料】
・生ベーコン(パンチェッタ):1パック
・卵黄:2個
・マッシュルーム(新鮮なもの):3個
・オリーブオイル:少々
・粉チーズ:好きなだけ
・コショウ:好きなだけ
○【作りかた】
1.生ベーコン1パックを混ぜやすい器に入れる
2.卵黄2個、荒く刻んだマッシュルーム、オリーブオイルひと回しを加えて混ぜる
3.皿によそい、上から粉チーズ、コショウを好きなだけかける。お好みでハーブなどを加えても
パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら