15日午前11時25分ごろ、岸田文雄首相(65)が衆院和歌山1区補欠選挙の応援で訪れた和歌山市・雑賀崎(さいかざき)漁港の演説会場で、登壇場所の近くに筒状のものが投げ込まれ、爆発した。首相にけがはなく無事だった。和歌山県警は威力業務妨害容疑で兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)を現行犯逮捕した。昨年7月に安倍晋三元首相(享年67)が参院選応援で訪れた奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡しており、県警も警戒を強めていた。
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威力業務妨害容疑で逮捕された木村容疑者。現場で取り押さえられた際は暴れることなく、平然としていた。和歌山県警によると木村容疑者は「弁護士が来てからお話しします」と供述している。本格的な取り調べに着手、動機や詳しい経緯を調べる。
木村容疑者の自宅は、事件現場から約110キロ離れた兵庫県川西市の同市役所から北西約5キロの住宅街にある。周辺住民によると、十数年前から2階建ての一戸建て住宅に家族と同居していた。地元の小中学校から県立高校に通っていたとみられる。現在は無職とみられ、家にこもりがちだったという。近所の住民らは「おとなしそうな印象だった」と口をそろえる。
自治会の代表である男性(75)は「目立ったトラブルは聞いたことはなかったので驚いている」と話した。また、かつて駄菓子屋を営んでいたという同監査役の男性(71)は「父親とよく駄菓子を買いに来ていた。まさかこんな事件を起こすなんてショックだ」と嘆いた。
また近所の男性(19)は小学生時代に木村容疑者と公園で鬼ごっこなどをして遊んだことがあり、「リーダー的な感じで暗いとか怖いという印象はなかった」と振り返った。
向かいに住む会社員の男性(58)は昨年秋ごろ、ジャージー姿の木村容疑者が自宅の庭で母親と草刈りする姿を見たといい、「会えば会釈を交わし『こんにちは』と言うとあいさつを返してくれた。家族との仲に問題があるようには見えず、けんかの声も聞いたことがない。(事件を聞いて)うそやろと思った」と話した。