【スターシアターズ・榮慶子の映画コレ見た?】太陽と桃の歌 波乱の一家 希望つなぐ

スペインの明るい空の下。子どもたちの食(は)む桃の果汁と乾いた風の匂いで物語は始まる。
突然、土地の明け渡しを迫られる桃農家のソレ家。祖父が親しい友人から契約書なしに土地を譲り受けたのが原因だが、彼らになすすべはない。最後の桃の収穫と並行して、家族それぞれの思惑がぶつかる波乱の夏となる。
一家の日々は淡々と営まれ、目の前の大きな問題に対して一致団結するわけではないのに、とても温かだ。時代の大きなうねりに逆らったり、のまれたりしながらも、この家族のしなやかさは、あすへの希望をつないでくれる。
昔、大好きだった勧善懲悪の時代劇は必ず悪が成敗され、スカッとしたものだが、現実は善悪では語れないことの方が多過ぎる。時代には逆らえないと嘆く前に、どんな時代をつくっていきたいのか考えるとしよう。(スターシアターズ・榮慶子)
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