[オフィスの窓から]かりゆし 誇れる文化に 野原真麻

「かりゆしウエアって、なんかダサい…」
前職で毎日スーツを着ていた私がずっと抱いていたイメージです。そのため、ブランド立ち上げ当初はかりゆしウエアではなく、インバウンド向けのリゾートウェアを展開していましたが、コロナショックで内需へ方向転換したことがかりゆしウエア参入のきっかけとなりました。
金融機関の協力のもと、38社1千人にかりゆしウエアのニーズ調査をしました。一番は「他と被らないこと」。かりゆしウエアを選ばない理由には、特定の職種イメージがつくことや派手過ぎて県外では着用できないこと、そしてやはりデザインにひかれないという意見もありました。
アンケート結果に「いざ、ニーズに応えるデザイン性あふれるカッコいいかりゆしウエアを」と意気込むものの、沖繩らしさを表現するテキスタイルを作る大変さや厳密に担保された製品クオリティー、売値と製作費用のバランスなど納得のいく一着をつくるのはすごく難しいものでした。
よく業界内では、かりゆしウエアはビジネスユニフォームで、ファッションではないと言われます。
ただ、世界を見渡すとハワイのアロハシャツはカジュアルから正装としてまで着用され、エクアドルのパナマ帽はリペア(補修)しながら子から孫へと継承され家族の誇りとなる帽子です。どれも世代を超えて、多様な場面で愛用されるものなのです。
今、私がかりゆしウエア製作に込める思いは、思いを大切な誰かにつなげ、着る人のステージを変え自分を表現する服-。それこそ伝統工芸やカルチャーをデザインに変え、アイデンティティーとして誇りになるウエアです。
沖縄の縫製業を再興させたビジネスウエアとしてのかりゆしを「2・0」の世界と仮定するならば「3・0」は、ファッションやスポーツなどの場面で幅広いアイテムとなり、文化やアイデンティティーとして、世界のウチナーンチュにとっても誇りとなるプロダクトに昇華されることではないかと考えています。
(アイランドワークス代表)
次回は新垣裕一氏(デジタルはるさー協同組合代表理事)です。[オフィスの窓から]かりゆし 誇れる文化に 野原真麻の画像はこちら >>