薬物中毒で懲役2年の実刑判決受けるも妊娠発覚 刑務所で子育てした女性の壮絶人生

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ショッピングやお酒、タバコ、ギャンブル、そして薬物など、世の中にはありとあらゆる「中毒」が存在する。このたび、元薬物中毒の女性が壮絶な子育ての思い出を告白し、世間に衝撃を与えている。
シンガポールの『AsiaOne』や『THE STRAITS TIMES』が報じた。
注目を集めているのは、シンガポールに暮らすハンナ・チュンさん(38)。現在は20歳の長男を含め、4人の子供を育てる母親だ。
ハンナさんが薬物乱用で初めて逮捕されたのは、17歳の時だった。刑務所から出所するも、1年後に再び薬物で逮捕。妊娠5ヶ月であることも発覚したが、懲役2年間の実刑判決が下ると投獄され、妊娠期間から育児まで獄中で過ごすこととなった。
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ハンナさんは刑務所内で妊婦健診を受けるも、「胎児に悪影響が及んでいるのでは」「すでに手遅れかもしれない」といった不安にかられていた。
陣痛がきたときだけは地元の産婦人科に送られたが、分娩室では足を繋がれたうえ、2人の看守が常に分娩を監視していたという。それでも産まれてきた男の子の赤ちゃんは健康で、親子は2日後には刑務所に戻され、独房での子育てが始まった。
ハンナさんは「水道の水は冷たく、そこで息子を沐浴させていた。刑務所では冷たい水でシャワーを浴びるのが当たり前だったから」と振り返る。

そんなつらい日々のなか、「この子のために良い母親にならなければ。息子に私と同じ道を歩ませるわけにはいかない」と決心したという。だが生後1ヶ月の頃、息子の体にできた発疹が悪化。出所まで、子育ては姉に委ねることが決まった。
それがターニングポイントとなり、ハンナさんは「二度とここには戻りたくない。息子のために生きる」と心に強く誓った。
出所後は、薬物依存の問題を抱える女性を助けるボランティア活動を始めたが、意志の弱さから、2年後に再び薬物に手を出してしまう。
そんなある日、3歳になった長男がタバコを口にくわえ、吸っている素振りにショックを受けたハンナさん。それがきっかけとなり、薬物を完全に断ち切ることができたという。
ハンナさんは「中毒や依存症に悩む人たちは、早期に助けを求めることが大事」「特に子育て中の親においてはかなり深刻な問題です」と訴えている。
ハンナさんはそうした女性たちを救う傍ら、「彼女たちが人生を再建するためにも、母親としての役割を果たすことができる、避難所のような安全な場所を提供したい」と計画中だ。
「自分は生きている。子供のために存在する」と強く意識してほしいという。