2月から予測情報を発表…高い建物に揺れもたらす「長周期地震動」特徴は“ゆっくりと揺れて遠い場所まで”

気象庁は2月1日から、大地震の際に高層ビルを長い時間ゆっくりと揺らす「長周期地震動」の予測情報を発表します。長周期地震動の特徴についてまとめました。 2011年に発生した東日本大震災では、震源地から遠く離れた東京でも高層ビルが長い時間揺れ、エレベーターの緊急停止などが相次いで起きました。こうした大地震の際に、高い建物にもたらす揺れを長周期地震動といいます。女子大学生:「長い間ずっと揺れていて、いつ終わるか分からない恐怖があるイメージはあります」会社員の30代男性:「(会社が)高層ビルの中にあったり、埋め立てだったりとかするので怖いですね。僕は27階です」 長周期地震動は、小刻みに揺れる通常の地震の揺れとは異なり、揺れの1往復にかかる周期が数秒間と、ゆっくりと建物を揺らすのが特徴です。
もう1つ、揺れが遠くまで伝わることも特徴で、地盤が柔らかい平野部にある高い建物は、震源地から離れた場所でもこの影響を受けて長く大きく揺れます。
東日本大震災では、震源地から700キロ以上離れた大阪でも、55階建ての咲洲庁舎が大きく揺れて建物の一部が損傷しました。(リポート)「名古屋駅周辺でも高層ビルが増えてきています。こちらでも20階建てのビルの工事が進んでいます」 全国的に増加傾向にある高層ビル。愛知でも2022年12月末時点で、20階建て以上のマンションだけで63棟あり、現在も各地で建設が進んでいます。

広い範囲で影響が及ぶ恐れがあることから、気象庁は2月1日から長周期地震動が発生すると予測される際、緊急地震速報に合わせて発表することにしました。 長周期地震動の揺れが起きたらどうすればいいのか、名古屋大学・減災連携研究センターの飛田潤センター長に聞きました。
飛田センター長:「これは実際の地震動の揺れで、前後左右に動いて揺れを体験できる機械です」 長周期地震動の揺れを再現する装置で、30階建てのビルの最上階にいる時に南海トラフ巨大地震が起きた場合の揺れを体験しました。
(リポート)「あー、体がふられます。大きく持っていかれます。足で踏ん張っていても上半身が持っていかれます。捕まっていないと立っていられません」
飛田センター長:「今ので5分間です。東日本大震災の時の新宿のビルであれば、10分以上揺れ続けたと言われています。長く続くところが大きな特徴ですね」(リポート)「時間が長いというだけでも十分怖かったです。揺れ方が、今まで体験してきた地震と全く違いました。前後左右、楕円を描くように揺すぶられるという感覚がありました。手すりがなかったと考えると捕まる所がないですし、吹き飛ばされていたと思います」 高層マンションやビル内のオフィスでは、固定されていない家具が大きく動いたり、書類や棚が落ちてきたりと、更なる危険も予想されます。
飛田センター長:「どういう建物がどう揺れるかは地震の特性でも変わりますので、一概にどれが危険というようなことではなく、高いビルが特別な大きな揺れをすることがあるということを分かっておいてほしい」 実際に高い場所にいる時に大地震が起きたら、どのような対策をすればよいのでしょうか。飛田センター長:「家具が倒れないようにするとか、物が落ちないようにするということについては共通だと思います。長周期振動というのは、大きな地震から離れた所まで伝わる性質があるんです。離れた所で、高いビルだけがかなり大きく揺れることも起こり得ます。落ち着いて、揺れが収まるまで身を守ることが大事になってくるんじゃないかと思います」