昨年12月、薗浦健太郎元衆院議員が政治資金問題を巡り議員辞職し、自民党も離党した千葉5区。23日投開票の補選には計7人が出馬した。
2021年の衆院選で薗浦氏に敗北した立憲民主党新人の矢崎堅太郎氏(55)は「約4000万を収支報告書に記載せず、自らのポケットに入れた。何に使ったのか説明もしなかった」と「政治とカネ」を巡る問題を批判し、「政治を健全なものに変えなければ」と声を張り上げた。
選挙区を構成する市川市、浦安市は無党派層が多く、不祥事に向ける目は厳しい。無党派層に加えて保守層の取り込みも図る矢崎氏は、13日に市川市内で行った演説で「不正をして得をする、そんな社会は絶対におかしい」と訴えた。
当初は日本維新の会と候補者を一本化する案もあった。立民陣営には、和歌山1区補選で立民が維新を支援する代わりに千葉5区では維新に候補者を取り下げてもらいたいという思惑があったが、維新が拒否。それでも陣営関係者は「野党乱立となり、狙い通りにはならなかったのは痛手だが、政治とカネ問題にあきれ果てている人はかなり多い。勝算は十分ある」と敵失による選挙に強気だ。
一方、自民は薗浦氏のイメージを払拭(ふっしょく)するかのように元国連職員の新人・英利(えり)アルフィヤ氏(34)を擁立した。「国際舞台で活躍したキャリアウーマンで、日銀での勤務経験もあり、経済感覚もたけている」(陣営関係者)。18日、市川市内でマイクを握った英利氏は、少子化対策や経済の底上げなどを公約に掲げ「批判ではなく、寄り添う政策で勝ちたい」と強調。「政治とカネ」問題にはあえて触れない戦い方で支持を訴えた。
演説を終えた英利氏に、「政治とカネ」問題の影響をどのように払拭していくのかを問うと「ゼロからのスタートだと思っている。クリーンな政治を目指していますし、自民党の候補者として責任を持って信頼を取り戻せるよう訴えかけたい」と、厳しい表情で話した。
維新は馬場伸幸代表が浦安市入り。馬場氏は「国民に負担を押し付ける政治か、維新による改革を前に進めるか。どちらを選ぶかが問われる」と訴えた。自民、立民、維新に加え、共産党、国民民主党、政治家女子48党と無所属の7候補による大混戦。有権者の審判が注目される。(坂口 愛澄)
◆千葉5区補欠選挙(改選1)
英利アルフィヤ(34)自民新=公明推薦=
岡野 純子(44)国民新
織田 三江(41)政女新
矢崎堅太郎(55)立民新
岸野 智康(28)維新新
斉藤 和子(48)共産元=当選1回
星 健太郎(43)無 新
※届け出順。カッコ内数字は投票日現在の年齢。敬称略。