いじめ問題に韓国で画期的プラン「大学入試に影響が…」 日本も導入できるか?

教師や学校、教育委員会、文部科学省、政府……日本中が声を上げて根絶を訴えるものの、教育現場で一向になくならないのがいじめ問題だ。だが、お隣の韓国で画期的な案が登場した。韓国政府は、大学の一般入試の選考において、受験生が過去にいじめに関わった記録を反映させる方針を発表。すべての大学に義務付けられるという。
「韓国ではここ数年、いじめの告発が大ブーム。学生時代にいじめに加担した芸能人やアスリートが、その行状を晒され、猛バッシングに遭うケースが相次いでいます。特徴的なのは、炎上だけでは終わらず、具体的に制裁を受けること。女子バレーボール選手が代表資格を剥奪されたり、アイドルグループのメンバーが脱退に追い込まれたり、高校野球の優勝投手がドラフト指名を取り消されたりといった事態が起きました。
今年2月には、警察幹部に任命された弁護士の息子が高校時代にいじめを行っていたことが判明し、任命は撤回。国としていじめ問題対策が急務となり、今回の方針につながったと見られています。韓国は日本以上の猛烈な学歴社会で、大学進学率は7割以上。就職や結婚に学歴が大きく影響するので、過去のいじめの記録が大学入試の選考過程で考慮されるダメージは計り知れません」(フリージャーナリスト)
韓国に限らず、いじめられた側の痛みと恨みは生涯にわたって消えないもの。今回の方針が日本で伝えられると、ネットには、

「すごく良い取り組みだと思う」 「これは日本でも取り入れて欲しい。いじめた側の逃げ得は許してはならない」 「いじめは加害者が社会的に制裁を受ける仕組みが必要」
といった声が上がっており、支持する声が圧倒的に多い。日本でも似たようなルールを採用することはできないのか?
「仮にそのルールを実行するとして、“誰がどのように認定するのか”という点が大きな問題です。現状でも教育現場は、いじめの把握に大きなエネルギーを費やしており、今年4月1日から、重大ないじめは国に報告するよう政府は要請しています。
しかし実際には、いじめ被害者が命を絶つような最悪の結末を迎えても、学校側がいじめを把握していなかったり、“いじめはなかった”と結論付けられるケースが多い。そもそも国が主導して学生の選考基準に口を出すことは、大学の自治を侵害し、学問の自由を侵すことにもつながります。現状では、難しいと言わざるを得ないでしょう」(同上)
ただ、日本では少子化がこれほどまでに進んでいるのに、いじめの認知件数は増加傾向にある。これについては、早期発見が進んだ結果という指摘もあるが、依然としていじめ問題が深刻であることに変わりはない。別の角度から事態を見つめれば、議論が一気に進展する可能性はある。
「今回の韓国の方針が日本でも大きな話題になれば、政治家も反応せざるを得ない。このような方針は自民党の支持層に好まれそうですし、萩生田光一氏を筆頭とする文教族は、特に保守的な色合いが強いので、導入することにやぶさかでないはず。岸田首相は支持率が低空飛行ですし、文科省も不祥事続きなので、点数稼ぎのために検討を視野に入れることはあるかもしれません。
いじめは教育を受ける権利を他人から奪う行為ですから、これになんらかの制裁を加えることは、社会的な同意を得られるはず。各大学が選考過程において、受験生のいじめ記録を含めた合否基準を設けることは問題ないでしょう」(フリー記者)
採用されたとして、“上級国民”がいじめ記録を揉み消す未来まで想像できるが、日本はどこまで本気になれるだろうか?