こんなにも私的な出来事を他人のわたしが見てしまっていいのでしょうか。そんな動揺お構いなしに、映画はどんどん秘部をさらし続ける。監督自身の手によって「これは私の家族です。どうぞ見てください」と、隠し立てせず、これでもかと提示され続ける。血液の巡りが激しくなり、体温もおそらく少し上がっている。とてつもない映画体験。
弟の願いは、統合失調症であろう姉を専門医に見てもらいたい、それだけだった。しかし、その願いは両親に拒絶された。だから監督はカメラを向けた。20年間、姉を、父を、母を、そして両親が姉を閉じ込める家を撮り続けた。
映し出されるのは、針で一刺しすれば弾けて、バラバラに壊れてしまいそうな緊張感と、新しい風の吹き込まないよどんだ空気。
18日は監督の舞台あいさつ。それを考えると、血の巡りがまた速くなります。(桜坂劇場・下地久美子)
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