【本部】七つ釜での黒糖作りを続けている本部町の西平黒糖で12日、サトウキビの一番搾りを使った「ミーサーター」(新糖)が製造された。本部町字山里の工場にはサトウキビの甘い香りが充満。煙突や釜から白い湯気が上がり製糖の季節を知らせた。(友寄隆央通信員)
1960年代までは県内各地で薪釜出しの黒糖作りが行われていたが、現在ではほとんど見られなくなった。71年に創業者の故西平賀盛さんが復活させ、同社では釜出しの黒糖にこだわり続けている。
代表の具志堅敦子さんと工場長の荻堂清子さん姉妹が事業を引き継いだ頃には、高齢化と宅地化でサトウキビの契約農家や栽培面積が減少していた。それを受けて10年ほど前から、専門農家に手ほどきを受け、スタッフと共にサトウキビの栽培を始めた。
手刈りのサトウキビ20トンを絞る圧搾機は、鹿児島県の奄美大島から取り寄せた。70年前に作られたもので年季が入っているが、現役で稼働している。手作業で不純物を除きながらひと釜4時間かけ、7回釜を移しながら、原液となる「さーたーゆー」(黒糖液)を煮詰めていく。
荻堂さんは「台風が少なく糖度があり、香りの高いミーサーターになった」と今年の出来に満足している。
商品名の「やえさくら」は、本部八重岳の桜の開花とサトウキビ収穫が同じ時期に行われることから名付けた。出来たての黒糖は口中に爽やかな香りが広がり、この時期しか味わえない。
加工された新糖は2月中旬頃から店頭に並ぶ。
問い合わせは西平黒糖。電話0980(47)2553。サトウキビの一番搾り→爽やかな香りの出来たて黒糖へ 復活させ…の画像はこちら >>
湯気を上げながら煮詰めていく「さーたーゆー」=12日、本部町字山里の西平黒糖工場