auのガラケーが美術館に出現、一体なぜ… 20年の時を超えた理由がエモすぎる

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絵画、彫刻、書といったアート作品が並ぶ美術館。静かな空間で作品を眺めるのは至福のひと時だ。
いま、ネット上ではかつて一世を風靡した「ガラパゴスケータイ」(以下、ガラケー)を展示した美術館が話題を呼んでいて…。
注目を集めているのは、大阪府にある大阪中之島美術館の「デザインに恋したアートアートに嫉妬したデザイン」展だ。同イベントは4月15日から6月18日まで開催中。
折りたたみ携帯電話が主流だった時代に革命的存在だった《INFOBAR》が「デザインに恋したアートアートに嫉妬したデザイン」展にて展示されます。ニューヨーク近代美術館(MoMA)に所蔵され、世界的にも評価された本作品は4月からご覧いただけます。お見逃しなく pic.twitter.com/NiiCkRNt8L
大阪中之島美術館 (@nakkaart2022) March 19, 2023
奈良美智氏や村上隆氏、横尾忠則氏といった名だたる芸術家が手がけた作品が並ぶ。その中に、2003年に発売されたauの「INFOBAR(インフォバー)」が展示されているのだ。

同機種はカラフルで四角い大きなタイルキーが特徴。折りたたみ式携帯電話が主流だった2000年代、そのシャープな見た目で絶大な人気を博した。
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ご存知の通り、2010年前後からスマホが主流になり、ガラケーから切り替える人が続出した。そんなガラケーの人気機種「INFOBAR」が美術展に展示されたことに衝撃を受ける人が多かったようだ。
ネット上では、「物理キーが懐かしい、てか便利だったよな」「これ持って使ってる人はオシャレさんが多かった気がする」「これ憧れてたー!今見てもときめく」「ボロボロになるまで使い倒して、今も実家の机の引き出しにしまってる」など、当時を懐かしむ人の声が見受けられる。
なぜ、ガラケーが美術館に並ぶことになったのだろうか。大阪中之島美術館に取材した。
大阪中之島美術館の担当者は、同美術館はアートだけでなくデザイン作品も収集対象としており、デザインの担当学芸員がいる特徴があると話す。
「INFOBAR」を展示した経緯を尋ねたところ、「INFOBARは、携帯電話が『携帯できる電話』という機能・機械から、衣服やアクセサリーのように『身につけるものとしての造形性』を備えるものへの変化を示すものです。携帯電話といっても、単に電話できればいいというわけではなく、それ以上の付加価値が求められるようになりました。同機種はニューヨーク近代美術館(MoMA)に永久所蔵されるなど、デザイン性が評価されています。デザイン史においても重要なプロダクトであると考え展示いたしました」(担当者)との回答が得られた。

たしかに、2000年代前半はデザインにこだわった携帯が多かった印象だ。カッコいい、かわいい携帯を持ち、友人に自慢した経験のある人も多いことだろう。
「INFOBAR」は、いち早くそうしたデザインを重視する流れに乗り、人気を博した。ある種、一つの「時代」を作ったと言っても過言ではない。そうした経緯が、20年の時を越えた今も語り継がれているのは感慨深いものがある。
同イベントはガラケー展示の件もあり、開催前から注目を集めていた。実際に訪れた人の反応はというと…。
「懐かしいという声や、携帯電話が美術館に展示されていることに驚かれる方が多い印象です。ツイッターでも、INFOBARを撮影された投稿が多数見受けられます」(前出・担当者)。
30代の記者は学生時代、ガラケーにお世話になった身である。当時は当たり前のように使っていたものが、スマホで撮影され、珍しがられるのは不思議な気分だ…。

取材の最後に、前出の担当者から「本展ではツイッターで話題になったINFOBARだけでなく、その前のコンセプトモデルやKDDIの携帯電話(草間彌生氏が手掛けた携帯電話)など造形性を備えた携帯電話を複数展示しております。そちらに関しても来場者は興味を持って鑑賞されているようです」というコメントを得られたのが印象的だった。
GW(ゴールデンウイーク)に入り、旅行やレジャーに行く人も多いことだろう。この連休中、時代を築いたガラケーを鑑賞してもいいかもしれない。