千葉県が打ち出した物価高騰対応の独自策が物議を醸しています。それは「県内の小中学生と高校1年生を対象に1人一律1万円を支給する」という内容。「なぜ高1で区切るの?」「未就学児や高2、3年だってお金がかかる」などと、子供の区切り方への疑問がネット上で噴出。また、「物価高は全ての県民を苦しめている」と、子供のいる世帯に絞った支援策にも疑問が上がっています。県の担当課にそれらの声をぶつけました。(デジタル編集部)
◆「小中、高1だけ?」波紋広がる
県が支援策の実施方針を発表したのは8日。県内のLPガス利用世帯などへの支援を国交付金を活用して行う施策とともに、県の独自策として、県内在住の小学1年~中学3年の全児童・生徒と、公・私立高校等の新1年生への一律1万円の支給方針を打ち出しました。災害復興・地域再生基金の計60億円を財源とし、近く開かれる臨時県議会に補正予算案を提出します。
この施策内容が報道されると、ネット上で波紋が広がりました。
「なぜ高1だけ?高校生全員対象であるべき」「物価高騰で影響受けるのは小中、高1だけなの?」「赤ちゃん、保育園児、幼稚園児、高2、3はお金がかからないと思ってる?」
その声の多くは「なぜ小中、高1なのか」という区切り方への疑問。そこで、県財政課の担当者に見解を尋ねました。
◆小中は習い事支援のため
―支給対象の区切り方はどのように決めたんですか?
「小中学生は習い事が続けられるようにという狙いで対象としました。物価高騰で食費などが上昇したら、削られてしまいやすいのが習い事の費用。子供たちの豊かな成長の機会が損なわれることがないように、という趣旨です」
―高校生は1年生だけ、としたのは?
「1年生は入学時に制服やバッグ、教材、学用品など多くのものを購入するので、2、3年生に比べてお金がかかります。文部科学省の2021年の『子供の学習費調査』では、制服や教材等の費用に1年生は平均26万円程度がかかっていますが、2年生は10万円程度、3年生は6万円程度。1年生と他学年では数倍の開きがあります」
つまり、小中学生は「物価高でも習い事が続けられるように」、高1は「制服や教材費に他学年よりお金がかかるため」という理由で、この区切りにしたとのことです。
◆他の年代や子供のいない世帯は?
では、「未就学児や高2、3年生を持つ世帯、または子供がいない世帯も物価高で苦しんでいる」との声についてはどう捉えているのでしょうか。
担当者はこう説明します。「物価高の影響が支援対象の世帯だけではないことは承知しています。が、今回は未来を担う小中学生の豊かな成長が損なわれることがないように、そして高校1年生は教材等に多額のお金が掛かるのを支援する、という趣旨で行います。対象を絞ったというより、支援が必要と判断したところに支援していくということです」
中には、「支援対象を区切るのは分断が生まれるだけ」との厳しい声も上がっている同施策。県担当者は「施策の趣旨を丁寧に説明して、県民の理解を求めていきたい」と話しています。