やはり、「ルフィ」率いる特殊詐欺グループの背後には、国内最大の暴力団の存在があったようだ。
「ルフィ」を名乗る広域強盗事件の指示役のひとり、渡辺優樹容疑者(38)らフィリピンの入管施設に拘束されている特殊詐欺グループの幹部4人について、同国法務省は31日、2月頭にも全員を日本側に引き渡す方針を明らかにした。
警視庁はすでに特殊詐欺事件で、4人の逮捕状を取得。渡辺容疑者がリーダーを務める同グループによる詐欺被害は、2018年11月から20年6月ごろまで全国各地で約2300件、被害総額は計約35億円に上る。
これまで大阪府警などの合同捜査本部は、70人以上の実行犯を逮捕している。20年2月には、大阪、北海道など11道府県警の合同捜査本部が6代目山口組の中核組織「弘道会」傘下「福島連合」の組関係者の男(当時45歳)を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで逮捕。その1週間後、札幌市内の組事務所をガサ入れした。
「男は19年7月、キャッシュカードをすり替える手口で特殊詐欺を繰り返していた渡辺容疑者のグループの女から、現金10万円を自身の口座に振り込ませていたことが判明。当然、犯罪で得た収益の一部と知っていた。この男には、数回にわたってカネが流れていた。グループの幹部に複数人の組関係者がいたことから、捜査本部は特殊詐欺による収益が暴力団の資金源になっているとみて、捜査を進めていた」(捜査事情通)
■幹部同士や組関係者とは札幌で知り合ったか
渡辺容疑者は北海道別海町の出身。中標津町の高校を卒業後、札幌に出てキャバクラ店で働き、その後、ススキノで飲食店経営を始めたが、すぐに店を閉めた。今回、逮捕状が出た4人のうち、渡辺容疑者ら3人が北海道出身(1人は不明)で同年齢だったことから、幹部同士や組関係者とは札幌で知り合ったとみられる。
「渡辺は札幌で不動産業を営んでいた12年、市内の元ホストクラブの従業員の自宅から現金1000万円と高級腕時計など300万円相当を盗んでパクられている。この時も知り合いから、被害者宅に多額の現金があることを事前に聞き出し、仲間と4人で犯行に及んでいた。今回の広域連続強盗事件とまったく同じ手口です。渡辺はフィリピン渡航後も、現地で暴力団と関わりがあることを吹聴していた」(捜査事情通)
広域強盗事件では多額の現金や高級時計、装飾品が置いてある自宅や店舗が狙われていることから、渡辺容疑者らが反社会的組織などから襲撃先の情報を入手し、犯行を繰り返していた可能性もあるとみられている。