武藤敬司も愛用! 長州力の感想は? 近距離モビリティ「WHILL」に乗ってみた

近距離モビリティ「WHILL」の取り扱いディーラーが100社を超えた。人生100年時代の新たな移動手段として、高齢者にとってはクルマに代わる乗り物になるかもしれないWHILL。膝に爆弾を抱える元人気プロレスラーの武藤敬司さんも愛用しているというが、いったいどんな乗り物なのか。

○免許返納後の移動手段を担う近距離モビリティ

2022年5月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者や一定の違反歴がある高齢ドライバーは運転技能検査が義務付けられた。運転免許証の返納という選択肢は、ますます現実味を帯びつつある。

一方で、警視庁の発表によれば、2022年の運転免許証の自主返納者数は44万8,476人で、前年より6万8,564人減少している。

運転免許証を返納したくてもできない人がいる。大きな要因はクルマに代わる移動手段の少なさだ。

特に地方では、ちょっとした買い物に行くにも店が自宅から離れているため、日々の移動手段としてクルマを使っている高齢者が多い。クルマが生活必需品になっている高齢者が免許返納に踏み切るには高いハードルがある。65歳以上の高齢者約3,600万人のうち、500m以上の歩行が困難な人は約1,200人いるという政府のデータもある。クルマの有無、クルマに代わる移動手段の有無が、日本に暮らす高齢者の生活の質を左右する重大なファクターになっているのは間違いない。

免許返納は自動車を販売するディーラーにとっても悩ましい問題だ。長年築いてきた顧客との関係が、免許返納を機に途切れてしまっては一大事だからだ。

こうした課題の解決策として、ディーラーから注目を集めているのがウィルの近距離モビリティ「WHILL」だ。

ウィル 日本事業部 執行役員 本部長の池田朋宏さんによれば、中長距離に比べて近距離の移動は「これまでイノベーションが全く起きてこなかった領域」だという。そのなかでWHILLは、2021年は20社だった取り扱いディーラーが現在では100社を突破し、地域やカーメーカーの垣根を超えて広がりを見せている。

近距離モビリティとは電動車椅子の規格に準じた時速6km/h以下で走行する乗り物のこと。道路交通法では歩行者扱いとなるため、運転に免許は不要で歩道の走行も可能だ。

スクータータイプの「モデルS」は、電源が入った状態でハンドル右手側のアクセルレバー(D)を握ると前進、左手側のアクセルレバー(R)を握ると後進する仕組みとなっている。

チェアタイプの「モデルC2」と「モデルF」は電動車椅子となり、右手側に備わるコントローラーで操作を行う。

実際に試乗してみたが、モデルSは進行方向をハンドルで操作するため操作性はバイクに近い。モデルC2とモデルFは、その場で1回転できるほど小回り性能が高かった。ただ、いずれも操作自体は難しくないので、初めて乗る場合でもすぐに慣れるだろう。

○長州力が「WHILL」を初体験!

イベントにはゲストとしてクルマ好きの武藤敬司さんと長州力さんが登場。トークセッションやWHILLの乗り比べを行った。

トークセッションで武藤さんは、以前出演したテレビ番組でWHILLに一目惚れして衝動買いした愛用者であることを明かした。ちなみに購入の決め手になったのはカッコよさ、軽さ、機能性の高さだったそうだ。

長州さんは以前、後輩の武藤さんが乗る車椅子を押した経験があるそうだが、その時は砂利道で負荷が増していたことから、「本当にひっくり返してやろうと思った」とのこと。プロレスラーでも路面状況によっては押すのが大変な車椅子。これが電動になれば、かなり助かる人も多いはずだ。

運転免許を返納済みという長州さんは、目の前に並ぶWHILLに興味津々の様子。スタッフから操作の説明を受けると、さっそく試乗をスタートさせた。

試乗を終えた長州さんからは「歩くのをやめようかな」「楽しいな」という言葉が飛び出すなど、満足げな様子が伺えた。

武藤さんも「プロレスラーのOBは体がボロボロ。蝶野なんかも杖をついていますから、紹介したほうがいいですね」と笑いを誘った。また、「もともと膝が悪く、どうしても出歩くことに消極的になってしまう。でも『WHILL』さえクルマに積んでおけば、ショッピングや食事に行くのもすごく楽だと思う」とアピール。最後には「ぜひ俺と長州さんを『WHILL』のアンバサダーに」と仕掛け人の一面をのぞかせてイベントを締めくくった。

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら