「懐古趣味にムダ金」と怒りの声 アルゼンチンの「シュペルエタンダール」仏から買った古豪機の顛末

安物買いの銭失いとはこのこと。
アルゼンチン国防省は2023年5月17日、フランスから中古で購入した超音速の艦上攻撃機「シュペルエタンダール」の改修を断念したと発表しました。
「懐古趣味にムダ金」と怒りの声 アルゼンチンの「シュペルエタ…の画像はこちら >>アルゼンチン海軍が運用していた「シュペルエタンダール」(画像:アルゼンチン国防省)。
この「シュペルエタンダール」は1978年にフランス海軍が運用を開始した艦上攻撃機です。2016年まで空母「シャルル・ド・ゴール」で運用され、退役した機体のうち5機を、アルゼンチンが2019年に約1500万ドル(約21億円)で購入しました。
実はアルゼンチン海軍も元々、フランス海軍とほぼ同時期に同機を導入していました。空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」の艦載機として保有し、空母退役後もしばらく使っていましたが、2014年以降は退役とされてはいないものの、全く稼働していない状態でした。
アルゼンチンは、1982年にイギリスを相手に起こしたフォークランド戦争(アルゼンチンではマルビナス戦争)から長く続くイギリスからの制裁や、財政危機などによる防衛予算不足のため、2015年にミラージュIIIが退役して以降、超音速の航空機が0機となっています。
そうした穴を埋める機体として、古い機体ながらフランスの「シュペルエタンダール」に改めて注目し導入したようですが、射出座席がイギリス製のため部品の輸入が不可能であり、それを代替する必要がありました。しかし代替の座席の開発も、前述した防衛予算不足のため断念せざるを得ない状況になったようです。
「シュペルエタンダール」はフォークランド戦争時に、対艦ミサイル「エグゾセ」を搭載し、イギリス艦艇に打撃を与えたこともあり、アルゼンチンが南米の軍事大国であったことを象徴する機体でもありました。
しかし、今回の迷走ぶりに一部メディアからは「やってることが理解不能」「博物館行きの機体を戦力化しようと無駄な時間と金を使った」「最新鋭のシステムに投資するのではなく、懐古趣味に賭けている」と痛烈に批判されています。
※5/23 9:50 一部修正しました。