【伊平屋 観光・物産フェア】沖縄本島北部の離島、魅力どっさり 特産品販売や体験会も 沖縄タイムスふるさと元気応援企画 3~5日に開催

沖縄タイムスふるさと元気応援企画「いへやじゅうてー 人情味あふれる原風景の郷 伊平屋 観光・物産フェア」(主催・同実行委員会、沖縄タイムス社)が3~5日、那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる。フェアでは魚介類や島の食材を取り入れた特産品が並ぶ。飲食コーナーでは、イカスミ汁や魚汁そば、貝飯などが味わえる。出店事業者や特産品、エメラルドグリーンの海に囲まれた島の観光を紹介する。(北部報道部・粟国雄一郎)
手つかずの自然 息づく 伊平屋村は沖縄本島の北西約40キロにあり、今帰仁村の運天港からフェリーで約80分。車両も積める定員300人の船が毎日2往復している。伊平屋島と野甫島の二つからなり、伊平屋島は有人では沖縄最北端。野甫島とは全長320メートルの野甫大橋でつながっている。
緑濃い200メートル級の山が連なり、山間部には田畑が広がるのどかな風景が訪れる人を迎えてくれる。手つかずの自然と神事や伝統芸能が今も息づく「てるしの(太陽神)の島」。
県内でも有数の米どころとして知られ、黄金色に輝く田園風景は伊平屋の象徴。周囲をサンゴ礁に囲まれて、透明度の高いエメラルドグリーンの海は県内でも有数の美しさとなっている。

天然記念物や文化財多数 念頭平松 ■ クマヤ洞窟 ■ 屋蔵墓 名所旧跡も多い。
樹齢280年の念頭平松は国指定天然記念物。日傘を張ったように枝が広がるリュウキュウマツで高さ8メートル、幅28メートル。山を背にした姿は風格たっぷりだ。伊平屋のシンボルとして島を代表する名所になっている。

クマヤ洞窟は天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れた「天の岩戸伝説」の地とされる。全国各地に伝わる伝説の舞台の最南端。狭い岩の隙間をくぐると神秘的な空間が広がっている県指定天然記念物。
また、屋蔵墓(やぐらばか)は第一尚氏・尚巴志の曽祖父、屋蔵大主(やぐらうふぬし)が祭られている。洞穴を利用した石積みの墓所は県指定文化財。約600年前に我喜屋集落の上里に住んでいたとされ、居住地には片隈神社が建立されている。
島の北端に突き出る久葉山は、神木とされるクバに覆われ、古くから神聖な場所とされてきた。県指定天然記念物で、山頂の灯台からは島全体を一望できる。

釣り好き必見 遊漁船が運航 MIUマリン 伊平屋村の大きな魅力の一つは白い砂浜と「伊平屋ブルー」と呼ばれる透明度の高い海。本島とは違うエメラルドグリーンの絶景が広がっている。徒歩でも渡れる野甫大橋からの眺めは人気のポイントでウミガメに出合えることも。村内ではサンゴ礁が広がる海域でシュノーケルやスキューバダイビングほか、カヤックやスタンドアップパドルボート(SUP)などを体験できる。
釣りの愛好家も楽しませてくれる。MIU(ミウ)マリンは昨年から遊漁船の運航を始め、近海のスポットに釣り客を案内。手ぶらで気軽に参加できるグルクン釣りから、ルアーフィッシングの一種でベテラン向けのジギングまで、元ウミンチュの船長がそれぞれの要望に応じて対応。伊平屋ならではの釣りへ案内する。

季節は、暖かくなり波も落ち着く4~10月ごろが最適。マチやカンパチ、ミーバイなどが狙えるという。
MIUマリンでは、沖堤防渡しや伊平屋と伊是名間のチャーターも運航している。問い合わせは電話090(1942)5160。

手もみ天日塩 島の恵み凝縮 倶楽部 野甫の塩 「倶楽部 野甫の塩」の松宮賢さん(56)と妻のさゆりさん(52)は、26年前から野甫島で塩作りに取り組んでいる。
新鮮な海水を引き上げ、7層からなる高さ6メートルの立体施設内で噴霧。循環させながら約2週間にわたり太陽と風にさらす。出来上がったかん水は火入れすることなくじっくり太陽熱で凝縮させる。夏場は28日、冬場は1カ月半~2カ月をかける。その間、ミネラルをバランス良くなじませるため毎日、丹念に結晶を手もみする。
酸味も相まったコクのあるうまみが特徴で、グルメ雑誌「dancyu」のテイスティング企画で1位に選ばれたり、ミシュランの星付きレストランに採用されていたりする。京都の老舗店の「塩かりんとう」にも使われていて、軽やかな歯応えとともに素朴な塩のうまみが味わえる。
「塩夢寿美(えんむすび)」の商品名で、海のミネラルをそのまま感じられるプレーンのほか、卓上塩ではピパーズやカレー、ゆず、ピリ辛の各風味もあり、食卓のシーンに合わせて使い分けができる。
松宮さんは塩の産地をたどり、国内外を訪ねて塩を研究。その数は30カ国以上に上る。野甫には入場無料の私設博物館「世界塩の博物館ソルトクルーズ」を開いていて、青やピンク、オレンジ色などの塩や現地の状況を紹介している。

昨年5月には、伊平屋村の玄関口となる前泊港のフェリーターミナル前にコンテナショップを開店。博物館に収まらない世界の塩のいくつかも見ることができる。
松宮さんは「美しい島の海を体感しながら、ぜひ島にもいらしていただきたい」と話す。

クバや稲わらで民具作り 4・5日 4日と5日は会場2階のタイムスギャラリーでクバや稲わら、月桃などの植物を使った民具やアクセサリー作りを体験できる。伊平屋島で民具アトリエ「種水土花」を主宰している是枝麻紗美さん(45)らスタッフが作り方を手ほどきする。
体験できるのは、伊平屋産の稲わらを使ったミニほうきや、壁飾りや鍋敷きに使えるクバの葉のガンシナー(頭の上に荷物を載せて運ぶ際に頭の上に置く道具)など5種類。
マース袋は沖縄ならではの柄やアフリカンファブリックなどからお気に入りの生地を選び、クバの新芽でサングァー(魔よけ)を結う。
ガーランド(壁飾り)は種水土花のオリジナル。月桃の縄や芭蕉のひもを使ってクバのリングに結び付けていく。
民具作りの体験は品目ごとに日時が設定されている。定員はそれぞれ約10人で参加費は1500~3千円。難易度に応じて年齢の設定がある。
是枝さんは「クバや稲わらなどを手にする機会はあまりないと思う。島暮らしや沖縄の植物についてお話ししながら、一緒に民具を作ってみませんか」と呼びかけている。

生活に寄り添う伝統民具 アトリエ「種水土花」

民具アトリエ「種水土花(しゅみどか)」を主宰する是枝麻紗美さん(45)は、クバや稲わら、月桃など、伊平屋に自生する植物を編んでトレーやアクセサリーなどの品々を手作りしている。道具として受け継がれてきた昔ながらの民具を現代の暮らしにも映える意匠にアレンジしていて、商品は県内外のリゾートホテルやセレクトショップ、大手百貨店などで取り扱われている。
「種水土花」は、水と土で種が花を咲かせ、花はまた種をつけていくという「自然の循環」がコンセプト。
クバのランプシェードや月桃の茎で編んだバッグなどは、どれも温かみがありながら洗練されていて、2019年にはクバの「ベジタブルトレイ」が県工芸公募展でデザイン賞を受賞。
クバと稲穂で作った「祝海亀」は、長寿や継続の象徴とされる縁起物の「祝亀」に着想を得たオリジナルの飾り物で、個性的で愛らしい姿が見る人の目を引きつける。
是枝さんは鹿児島県生まれ。東京で10年余りにわたって広告やファッション誌のスタイリストとして活躍。移住先の伊良部島でクバの葉1枚で作る昔ながらの民具に魅了され、独学で技術を磨いた。
取り組みを本格化させるため、2016年にはクバが多く自生する伊平屋島に移住。昨年は築65年の古民家を改装し、品物を取りそろえたギャラリーと体験施設をオープンした。
是枝さんは「短時間で体験できるメニューがほとんどで、小さなお子さま連れでも楽しめる。美しい海をはじめとした手つかずの島の自然を体感しにぜひ伊平屋にお越しください」と話している。

出展店舗・事業者紹介●上原水産(マグロのカマ、セーイカ、島魚三枚おろし、あんだーみそ=マグロ・セーイカなど)
●海やから千増(うずまきもち、黒糖アガラサー、黒糖ナントゥなど)
●藤田食品(もずくのたまご=プレーン・とうがらし、黒糖パウンドケーキ、黒糖蜜、クッキーなど)
●パパイヤ玉城(てるしの一味)
●種水土花(クバトレイ、植物アクセサリー=ピアス・イアリング・ブレス、マース袋、月桃コースター、祝海亀、祝海亀Tシャツ、オリジナルてぬぐいなど)
●伊平屋酒造所(照島30度、たつ浪42度、芭蕉布35度、照島44度、平松ロック20度)
●JA伊平屋支店(フチ黒糖、カチ割り黒糖、一口黒糖、粉黒糖、黒糖食べちゃおう、野菜各種)
●伊平屋村漁業協同組合(もずくめん、太もずくの佃煮、マグロカレー、乾燥あーさー、乾燥もずく、あぶらみそ、ミーバイ汁セット、伊平屋島そば、ミーバイ生ハム、島魚)
●倶楽部 野甫の塩(手もみ完全天日塩「塩夢寿美」、卓上塩=プレーン・ピパーズ・カレー・ゆず・ピリ辛、天然にがり「海の幸」、塩かりんとうなど)
●海産物料理 海魚(ナーガラス=貝の塩漬け、島タコの油みそ、パパイヤジャム、夜光貝のラー油漬け、夜光貝、タカセ貝、島ダコの燻製、甲イカの燻製、夜光貝ともずく佃煮)

種水土花ワークショップ日程各回定員約10人(予約優先で空きがあれば先着順)
【4日(土)】
▼13時、我喜屋の稲わら ミニほうき(90分~/10歳~)¥2500

伊平屋島はお米の産地。我喜屋集落の田んぼの稲わらで沖縄に伝わるほうきを作っていきましょう。ほうきはほこり(邪)を掃く魔よけとしてお飾りや実際のお掃除に。妊婦さんのおなかをなでてあげると安産祈願にとお土産にも喜ばれます。
▼15時~・16時~(追加)、クバのガンシナー(60分~/13歳~)¥3000
クバは沖縄では御嶽に生えており、神聖な植物として扱われてきました。同時に繊維が強いため民具の材料として重宝されてきました。ガンシナーとは頭に載せ、その上に荷物を載せて運ぶための道具。お盆にスイカやパイナップルを載せたり鍋敷きや壁飾りにしたりしてお使いください。
▼17時、願いを込めてクバの新芽で結ぶマース袋《お守り》(45分~/5歳~)¥1500
クバを使って昔ながらのマース(塩)お守りを作っていきましょう。袋の生地は琉舞の衣装で使用される物やアフリカンファブリックでご準備しております。贈り物に大変喜ばれます。
【5日(日)】
▼13時、クバと月桃縄 貝殻orシーグラスのお守りガーランド(60分~/10歳~)¥2500
ガーランド(壁飾り)を作っていきましょう。沖縄らしい海を感じる貝やシーグラスを選び、月桃の縄や芭蕉のひもを使ってクバのリングに結び付けていきます。リングの先はサングァー(魔よけ)になっており車やドア飾りにお使いいただいています。
▼14時、クバの籠(60分~/13歳~※小さなお子さま連れのお客さまは保護者同伴)¥3000
昔ながらの籠を作っていきましょう。この籠は元々水くみとして使われてきた民具です。上手にできたら実際に水をくむことができますよ。果物やパンの籠にお勧め。
※15時の「クバの籠」は定員になりました。

「伊平屋ブルー」と呼ばれるエメラルドグリーンの海

手もみ完全天日塩「塩夢寿美」の各商品

乾燥しやすくするため、塩の表に筋を付けていく松宮さゆりさん=伊平屋村野甫

2階のタイムスギャラリーで体験できるクバのかご、マース袋、ミニほうき、ガーランド

体験施設とともに昨年オープンした種水土花のギャラリー。(左から)是枝麻紗美さんとスタッフの安里望さん=伊平屋村我喜屋

海やから千増の「うずまきもち」

上原水産の「マグロのカマ」

JAおきなわの「フチ黒糖」

パパイヤ玉城の「てるしの一味」

伊平屋漁協の「もずくめん」

海産物料理・海魚の「ナーガラス」

藤田食品の「もずくのたまご」

伊平屋酒造所の泡盛

種水土花のホームページ

近海でつり上げたシロブチハタ(提供)