エンジン8発! 超巨大飛行艇ボーイング子会社が開発へ 航続距離は1万2000km以上

アメリカが本格的に軍用飛行艇の開発に乗り出すか?
アメリカの航空機メーカー、ボーイング傘下のオーロラ・フライト・サイエンス(以下AFS)は2023年2月2日、DARPA(国防高等研究計画局)が進める超大型水上飛行機「リバティー・リフター(Liberty Lifter)」プログラムのフェーズ1に、自社の大型輸送飛行艇プランが選ばれたと発表しました。
エンジン8発! 超巨大飛行艇ボーイング子会社が開発へ 航続距…の画像はこちら >>オーロラ・フライト・サイエンスが公開した「リバティー・リフター」飛行艇のイメージCG(画像:AFS)。
これによりAFSは、DARPAから資金供与を受け、水上飛行機としての概念設計レビューを6か月以内に構築するとしています。
「リバティー・リフター」は、長距離飛行が可能で、かつ生産・運用コストを抑えた輸送用水上機の開発を目指すものです。また特徴のひとつとして、翼状の物体が地面や水面近くを移動する際、それらのあいだの空気流の変化に物体が影響を受ける「地面効果」を用いて、水面から100フィート(約30m)未満の超低空で飛行することができる仕様も盛り込まれています。
DARPAでは本プロジェクトで、このような航空機がアメリカ軍の戦略・戦術双方の輸送能力を飛躍的に向上させることができるのかを実証するともしており、その第1段階としてフェーズ1では航続距離や貨物の積載量などについて審査が行われていました。
AFSの「リバティー・リフター」プランは、単胴型で主翼を上部に装着した高翼配置の、オーソドックスな飛行艇形状です。エンジンはプロペラ駆動のターボプロップ8発で、尾翼は水平翼が上端に付くT字型形状、6500海里(約1万2000km)以上の航続距離(フェリー時)を持ち、最大13フィート(約3.97m)の波が立つ海面状況下での地面効果での飛行性能を持つとのこと。
また、胴体内にはアメリカ海兵隊の水陸両用戦闘車(ACV)2両もしくは20フィートコンテナ6つを収容可能であり、これらによってDARPAが設定した仕様を満たすことが可能だとしています。
なお、今回の「リバティー・リフター」プログラムのフェーズ1では、AFSのほかにGA-ASI(ゼネラルアトミクス・エアロノーティカルシステムズ)の双胴型プランも選考を通過し、次のステップへと進んでいます。