”子供3歳まで在宅勤務”実際にやってみたワーママ記者の体験談「育児と仕事の両立には最高」も…思わぬ落とし穴

■3歳までテレワーク義務化を検討
厚生労働省が、3歳までの子供がいる人へのテレワーク(在宅勤務)を、企業の努力義務とする方向で検討していることが報じられ話題になっている。実際に育休から復帰後、在宅勤務をしている記者が自身の経験を紹介したい。
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■メリット沢山も過酷なワーママ生活
結論から言うと、在宅勤務は育児と仕事の両立に最高。しかしやりすぎに注意…。といったところか。一番助かった点が、通勤時間がないことでフルタイムで働けたことだ。また、子供の体調不良の連絡があると、すぐに迎えに行けたこと、朝、子供が「園に行きたくない」と行き渋って時間がかかったり、病院に寄ったりなど、朝の1時間を抜けてその分夜に仕事をするなど、急な予定変更などにも柔軟に対応できたことは大変助かった。また、身だしなみを外で勤める時ほど気にしなくてもいいことで朝の用意も時短できた。ほとんどの連絡はチャットで、わかりやすくスムーズだった。それでも、「ワーママ」生活は、私のこれまでの人生で最も過酷だった。我が家の場合は夫が単身赴任、両親も遠方に住んでいるため「ワンオペ育児」生活となり、保育園の用意、送迎、料理、掃除、洗濯、食器洗い、子供の風呂、寝かしつけ、遊び相手、体調不良の時の対応など、母親の私が仕事も育児も家事もすべてやらなければならない状況もあったが、過酷さを感じた理由はそれだけではない。
■オンオフの切り替えできず疲労がたまる
失敗だったと思うのが、「オンオフの切り替えが難しい」ことや「リモートだから子供が体調不良などで休んでも無理に仕事をしようとした」という2点だ。数字で結果の出る業務だったため、頑張れば頑張るだけ目に見えるということ、働きやすい環境を整えてくれた会社への感謝の気持ちも強く、毎日必死に働き数字を上げた。基本は午前9時~午後5時の勤務だったが、ほぼ24時間動いている職場だったため、リモートなのをいいことに本来の終業後や深夜、早朝なども自主的に仕事をすることが次第に増えた。「さぼっていると思われたくない」「会社に不要な人間だと思われたくない」という気持ちも強かった。上司からは「頑張りすぎでは」「大丈夫か」と心配されるほどだった。フルタイムのリモート勤務で産後に復帰したのは私が初めてだったため、どれぐらい頑張ればいいのかわからず、私が頑張って働いていると思われなければ、後に続く社員にも迷惑になると思ったのだ。
■体調不良の子供見ながら仕事は無理
子供が保育園に行き始めると、すぐに風邪をもらってきて最初の頃は月の半分は休むような状態。また、コロナの感染拡大で自宅保育への協力要請も出され、その結果、自宅でリモートワークをしながら1~2歳の子供を育児するという日が多くなった。全部休んでいたら、有給休暇なんて1か月で使い切るところだったため、休むことが怖かった。また、「リモートなら子供をみながら仕事できるだろう」と当初は甘く考えていた。しかし、自己主張の出てきた幼児を見ながらの仕事は過酷だった。テレビを見せっぱなし、しかし幼い子供が長時間の1人遊びは難しく「遊ぼう」と手や体をつかんで連れて行こうとするし、仕事のPCも触ってしまい怒鳴って泣かせてしまうことも。仕事でかまってもらえないと畳の上で自らオムツを脱いでおもらしをするようになった。昼寝をさせている途中に起きてしまい、自ら降りようとしたベビーベッドから落下、頭を強打し病院を受診した時には「何をやっているんだろう」と、自分を責めた。それをこなしながら、業務のチャットや数字を24時間気にして気が休まらない状態が続いた。
■ストレスで体調不良に…無理は禁物
そんな日々が続くうち、呼吸が苦しくなる症状が出たため病院を受診。胸部エックス線検査で異常はなく、「ストレスのせい」と医師から告げられたことで、自分もギリギリの精神状態で仕事をしていたことに気付いた。子供の性格にもよるが、私の場合は「イヤイヤ期」である1歳半~3歳までは、子供を見ながら仕事をすることは無理だったんだと思う。しかし、当時は「リモートなのに休むのか」、と誰に言われたわけでもないのに変に自分に厳しくして、我慢してしまった。職場の人は「無理しないで休んで」と言ってくれたのに。3歳になる頃には、子供の体調不良は少なくなってきた。休みが多いのは、ほんの一時期なのだ。
■気分転換が大事、家庭優先でいい
このような経験から私が伝えたいのは、
(1)リモートワークだからといって子供の体調不良時まで仕事を頑張りすぎないでほしい。→ただでさえ大変な時期、自分と子供の気力体力に常に余裕をもつことを意識してほしい。
(2)オンとオフをつけることを心がけてほしい。→産後は心身ともに不調に陥りやすい。健康やメンタルを崩してしまうと立ち直るには時間がかかる。
(3)一生に一度しかない、幼いころの子供との宝物のような時間を大切にする時があっていい。→家庭優先を悪だと思わない風潮も必要。
(4)コミュニケーションの希薄さ、孤独に注意。→リモートだと職場の人とも話さない場合もあり、メンタルを崩しやすい。
という4点だ。子供が3歳まで、私は仕事のことが頭から離れずパソコンやスマホばかりを見ていて、子供と目を合わせて話をした時間が少なかったように思い後悔している。
■母親に負担かかりすぎる日本社会
核家族の増加で、親も遠方の場合や、夫の激務や単身赴任、またはパートナーが家事育児に参加する意識が希薄…などという場合には、母親が一人で仕事、育児、家事すべてこなしているという家庭も多いだろう。すぐには解決しない問題ではあるが、父親の育児参加を当たり前という風潮を高めていくことも急務だろう。さらに、日本の正社員雇用で資格もない場合、一度会社をやめてしまうと元に戻ることは難しい。私もその不安が強く頑張りすぎてしまった。育児に限らず、介護や体調不良、ほかにやりたいことができた、などで離職した人が、会社に戻れるような制度もあるとより安心かもしれない。