水が枯渇したら全員の負け 研究者が考案した「南の島」のボードゲーム

琉球大学理学部の土岐知弘准教授の研究チームがこのほど、サンゴ礁海域の島々の持続可能な水資源利用を考える環境教育ボードゲーム「すいまーる」を考案した。「水は正しく使えばいつまでも使える」をコンセプトに、立場の異なった参加者が対話を深めながら水資源への意識を高められる仕組みになっている。取り組みの成果は学際的電子ジャーナル「サステイナビリティ」誌に論文として掲載された。(社会部・下里潤)
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「すいまーる」は「すい=水」と、助け合いを意味する「ゆいまーる」を合わせた造語。プレーヤーは農家や漁業者、観光業者など立場の異なる職業に分かれ、島の共有財産である水資源を利用することでお金をもうける。最終的にコインを多く稼いだ人が勝ちとなるが、水を使い過ぎて枯渇した場合は全員の負けとなる。
各ターンごとに「台風」「カタブイ(局地的な雨)」「空梅雨」などの天気カードを引く必要があり、天候に左右されやすい島の環境も学べる。地下水が少なくなった場合、「人工降雨作戦」「海水淡水化装置」などのお助けカードも使えるほか、お金を稼げば「貯水タンク」を購入できるなど、より現実社会に近い設定にしてある。

土岐准教授は「水資源と聞けば『節水』を思い浮かべるが、それだけでは経済が回らない。水は正しく使えばいつまでも使えることを知ってもらい、どうすればより良い未来が描けるか皆で考えてほしい」と強調。「参加者の年齢によって難易度も変えられるので、希望があれば出前ワークショップも検討したい」と話した。
ボードゲーム(発展版)はインターネットからダウンロードできる。問い合わせは土岐准教授、電話098(895)8537。http://mizunowa.skr.u-ryukyu.ac.jp/downloads.html