パリッコのおつまみ革命 第21回 新潟県民のソウルフードをかた焼きそばで作った「かた焼きイタリアン」、香ばしい揚げ麺に絡むミートソースがもう…

かた焼きそばが好きなんです。

ぱりぱりに揚げた中華麺の上に八宝菜風の餡がかけてある、中華の定番料理。

ラーメンやチャーハンのように、猛烈な勢いで食べきってしまう料理とタイプが違い、具沢山でちびちびとつまめる。しかも、餡が熱々だから冷めにくい。時間の経過とともに麺がしなしなになる変化もまた楽しく、酒のつまみとして考えると、中華料理のなかでもかなり優秀なやつだと思うんですよ。

ところである日、ふと気になりました。かた焼きそばの麺に合うソースって、中華風に限るのだろうか? と。そこでさっそく検証してみた。市販の揚げ麺に、「カレー」「グリーンカレー」「クリームシチュー」「牛丼の具」「魯肉飯の具」「つけ麺スープ」「カルボナーラソース」「ミートソース」の8種類のソースをかけて食べ比べてみた。そしたら驚かされたのは、あげ麺の懐の深さ。なにをかけても、基本的にうまいんですよ。

なかでも僕が気に入ったのが、パスタ用のミートソースでした。これはもう、なんで今まで定番じゃなかったの? っていう、中華餡とタメを張るレベル。

加えて思い出したのが、新潟のご当地グルメ「イタリアン」の存在。ご存知ですかね? 焼きそばの上にミートソースやトマトソースをかけた料理で、新潟県民のソウルフード的存在なのだそう。

考えてみれば、焼きそばとミートソースが合って、そこまで支持されるならば、かた焼きそばとミートソースだって合わないはずがないんですよ。つまり、僕は勝手に、「かた焼きイタリアン」を生み出してしまっていたというわけだったんですね。
○市販の材料ふたつを組み合わせるだけで

かた焼きイタリアンの作りかたは究極に簡単。もちろん各食材を手作りしてもいいんですが、いちばん手っ取り早いのは、市販の材料ふたつを組み合わせるだけ。

ただ、今回はちょっと贅沢にいきましょう。ミートソースに、ひき肉でミート感ブーストを加えていきます。

フライパンで好きなだけの量のひき肉を炒め、

味が足りなければ、塩なりケチャップなりで好きに調整してください。

そうしたら、1人前の揚げ麺に、

仕上げに黒コショウや乾燥パセリなどをふりかけてみてもいいでしょう。

香ばしい揚げ麺に濃厚なミートソースがよく絡み、しかも時間の経過ととも味が染み込んでいく。ぱりぱりからへにゃへにゃの麺の食感のグラデーションも楽しい。なので、もちろん細麺でも合うと思いますが、太麺のほうがより、おつまみ向きかと思います。

もちろん、ミートソース味なので、粉チーズやタバスコでの味変もばっちり合いますよ!

○【材料】

・かた焼きそば用揚げ麺:1人前
・ミートソース:1パック
・ひき肉:お好みで
○【作りかた】

1.ミートソース1パックを温め、1人前の揚げ麺にかける。黒コショウなどはお好みで。
2.ひき肉を加える場合は、炒めたひき肉とソースを合わせ、必要ならば塩やケチャップなどで味を調整する。

パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら