パソナグループの「パソナ総合研究所」は、全国の就業者を対象に『生活世論調査』を実施し、内閣府の「国民生活に関する世論調査」と比較した結果を5月29日に発表した。同社の調査は2022年8月26日~29日と10月18日~26日の期間、就業中の18~84歳の男女1,301人を対象に実施。一方、内閣府の調査は2022年10月13日~11月20日期間、18歳以上の日本国籍を有する者1,888人を対象に実施した。
両調査の違いとしては、同研究所の調査では対象を“就業者のみ”とし、年代と勤務形態(フルタイム・ノンフルタイム)を均等に設計しているのに対し、内閣府調査は就業中かどうかに関わらず対象をランダムに聴取したため、高齢者の回答割合が高いのが特徴だという。
はじめに現在の生活の満足度について調査したところ、「満足している(「まあ満足している」を含む)」と回答したのは、内閣府調査・就業者調査共に約半数という結果に。
去年の今頃と比べて現在の生活はどうかとの質問に「向上している」との回答は、内閣府調査は4.7%であった一方、フルタイム就業者は12.6%、ノンフルタイム就業者は7.6%だった。
「所得・収入」と「資産・貯蓄」での満足度においては、内閣府調査よりも、就業者調査の方がやや低い傾向に。ノンフルタイム就業者においては、満足度は低く、不満度が高い傾向が見られた。
自己啓発・能力向上での満足度において、フルタイム就業者は48.8%、ノンフルタイム就業者は46.8%が「満足している(「まあ」を含む)」と回答。その理由を尋ねたところ、「自分の趣味や興味を伸ばせる自己研鑽の時間を持てているから」(フルタイム:58.5%、ノンフルタイム:77%)が最多にあがった。
一方「やや」と合わせて「不満」と回答した人の理由をみると、両者とも「自分の趣味や興味を伸ばせる自己研鑽の時間を持てていないから」との回答が半数を超えることが明らかに。
生活の中で「悩みや不安を感じている」人は、内閣府調査で78.1%、就業者調査では、フル・ノンフルタイム共に約6割の結果だった。その内容をみると、内閣府調査は「老後の生活設計」(63.5%)、就業者調査は「自分の健康」(55~55.5%)がトップにあがった。
今後どうなっていくと思うかとの質問に対し、「悪くなっていく」が「良くなっていく」を上回った。特にフルタイム就業者(40.4%)でその傾向が強く、内閣府調査と比較して12.5%高い結果に。
今後の生活においては、物質的な生活面の豊かさよりも、「心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」に回答が集中し、内閣府で51.7%、フルタイム就業者で45.2%、ノンフルタイム就業者で41.3%と判明。
働く目的について尋ねたところ、内閣府・就業者調査共に「お金を得るために働く」が最多だった。一方で、ノンフルタイム就業者は「生きがいを見つけるため」(17.5%)の割合が他より高いことが明らかに。
理想的な仕事をみると、全体的に「収入が安定している仕事」に回答が集中した。フルタイム就業者は「収入が安定している」(64.4%)「高い収入が得られる」(26.7%)仕事を求める割合が高く、ノンフルタイム就業者は「私生活とバランスがとれる」(55.5%)「健康を損なう心配がない」(40.1%)仕事への関心が高まる結果に。また、「失業の心配がない仕事」を選んだ人はフルタイムで30.3%、ノンフルタイムで30.5%だった。
一方で、収入と自由時間のあり方について尋ねると、全体的に「収入をもっと増やしたい」とある中で、フルタイム就業者は「自由時間」を、ノンフルタイム就業者は「収入」をより増やしたいとする傾向がみられた。