<新橋・ガス爆発>「タバコを吸おうとライターに火を付けたらドカンと爆発」「ボーボー燃え映画の世界のような」現場は馬主クラブ関係者が集まる極上の社交場「店内でガスは使っていなかった」

7月3日午後3時15分ごろ、東京都港区新橋3丁目のビルで「爆発音がして、灰色の煙が出ている」と110番通報があった。火災が起きたのは、同ビル2階テナントに入った飲食店。店長の男性(52)は警視庁に対し「店内の喫煙室でタバコを吸おうとライターで火を付けた瞬間、ドカンと爆発した」と話しており、同署はなんらかの理由で漏れたガスに引火した可能性があるとみて調べている――。
「ドンッッッッ!!!」7月3日の昼下がり、サラリーマンの街・新橋にある一軒の雑居ビルから爆発音が響きわたった――。火災が起きたのは、同ビル2階テナントに入った飲食店。警視庁愛宕署によると、同店にいた男性店長(52)と女性従業員(53)は顔などに火傷のケガを負い、ビルの近くを通りかかった75歳と53歳の男性2人も、爆発の影響で飛び散ったガラス片が当たるなどした。そのうち3人は重傷で、75歳の男性は軽傷だという。
火災があったビル(読者提供)
出火当時、店は開店準備中で客はいなかった。店長は警視庁に対し「ガス、または下水の臭いがすると思いながら、店内の喫煙室でタバコを吸おうとしてライターを付けたらドカーンと爆発した」と話している。当時の緊迫した状況を、近隣の人々は語る。「出火したビルから100メートルほど離れたオフィスで仕事をしていたんですが、まるでトラック同士が正面衝突したかのような『ドンッッ』という破裂音が聞こえて、一瞬で社内もザワつきました。最初は『大通りで事故でも起きたのかな?』くらいの感覚でしたが、いざ現場に行ってみると、窓ガラスのほか外壁まで飛び散っていて……。火もボーボー燃えあがっているし、ビルから走って逃げる人もいたので、まるで映画のフィクションのような世界かと思いました」(30代・男性)「向かいのビルの6階で仕事してたんですけど、『ドンッッ』という音を聞いて窓を開けたときは、思わず目を疑ってしまいました。道路一面に窓ガラスやガレキが飛び散っているし、ビルから走って逃げる人もいて、『いったいなにが起こったんだ?』と頭がパニックになりました。道路の通行人も、出火したビルの上階の人たちに向かって『火事だよ! 早く逃げて!」と叫んでいて、とにかく驚きましたね」(50代・男性)
新橋の現場周辺は一時、パニックになっていた(撮影/集英社オンライン)
火災があった飲食店は、「馬好きのオアシス」をコンセプトにしたオーセンティックバーとして、2017年に銀座にオープン。2020年10月に新橋に移転してきたという。近隣のビルに勤める30代・女性はこう語る。「あそこは大きな馬の看板を出しているので、お店の存在自体は知っていました。でも、バーだとは思わなかった。人の出入りは少なく、こじんまりとしたイメージですね」
現場となったビル(撮影/集英社オンライン)
店のホームページには「会員制のラウンジのような、極上の社交場でありたい」「『人と馬と夢を繋ぐ場所』皆様の夢を叶えるための、出会いの場所になりたい」との記載があり、新橋の”隠れ家バー”として営業していたようだ。また、「一口馬主勉強会」として、同店ではたびたびオンラインサロンやセミナーが開かれていた。牧場経営者や調教師、馬主クラブ関係者や獣医といった錚々たるメンバーが登壇し、馬主に興味のある人へ講演を行なっていたという。店のFacebookアカウントには、お酒や料理の写真とともに、こんな文言も添えられていた――。<バーテンダーは、絶えず2名体制、お客様の大事な接待や会合にも、ちゃんと対応できるように準備しております><昨夜は久々の満員御礼の大盛況で、数々の新しい出会いや、新たな一口馬主、地方馬主の誕生の予感もありました!>火災のあったバーの店長は調べに対し「店内でガスは使っていない。調理はIHなどの電気器具を利用していた」と話しているという。警視庁は別の場所でガスが漏れ、2階のバーに充満し爆発した可能性があるとみて詳しく調べている。取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班