成田のバッティングセンター惜しまれながら閉店 北総の野球少年を46年間育て 26日、ファンら万感込め“最後の打席”

北総地域の人たちに46年間親しまれた成田市の「東バッティングセンター」が26日、惜しまれながらも閉店する。足しげく通ったファンや野球少年が詰めかけ、“最後の打席”に立った。2代目店主の武士田幸男さん(51)は「いろいろな人からねぎらいやお礼の言葉をもらい、胸がいっぱい」と感謝した。
1977年に開業し、成田空港につながる国道51号沿いに立地。球速70~135キロの8打席を設けた店内の壁には「ホームラン」の的に打球を当てた客の名を書いた木の札がずらり。成田高校を卒業した千葉ロッテの唐川侑己投手や、酒々井町出身で広島カープの坂倉将吾選手といったプロ選手も子ども時代に通った。
ピーク時は年間延べ約7万人が来店した施設。新型コロナ禍で客の大幅減に直面した。今年3月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が世界一となり、野球人気が再燃した効果で客足は回復傾向だったが、一体的に運営していたゲームセンター(5月閉店)の客数が戻らず、バッティングセンターも閉店に至ったという。
営業最終日の26日、閉店を惜しむ多くの客が朝から訪れた。30年以上通う成田市の小田垣利和さん(52)は「野球を愛する人の心のよりどころだった。地域の野球人口やレベル向上を支えていた」と感謝。息子で小学5年の実利君(10)は「野球を始めるきっかけになった場所。さみしいけど、最後にお礼をしたかった」とバットに力を込めた。
市外の人にも愛された。富里市の平島孝一さん(57)は「広々とした雰囲気が気持ちよくて好きだった」。高校野球の引退後も通った佐倉市の男性(29)は「父と通った思い出がある。最後にホームランを打てた」と、景品のボールを大切そうに持ち帰った。
武士田さんは感謝の気持ちを込め、一人一人の客と最後の言葉を交わした。「楽しそうに打つお客さんの姿を見られなくなるのがさみしい。親子3代で来てくれた人もいる。最初は構えもままならない子が上達していくのを見るのもうれしかった」と振り返った。