「黙秘します」25回超 事実婚の妻を嘱託殺人し自宅を放火した罪に問われた男 母親の死から生活苦に 心中図るも「怖くなった」

2023年2月、愛知県愛西市で事実婚関係にあった女性の依頼を受けて殺害し、自宅に放火するなどした罪に問われている男の裁判で、男は検察側からの質問に25回以上「黙秘します」と繰り返しました。
(検察官)「事件当時の債務額はあなたの頭ではいくらだと認識していましたか?」(被告)「黙秘します」(検察官)「周りの家に火が行かないように工夫はしましたか?」(被告)「黙秘します」弁護側の質問には饒舌に答えていた被告の男は、検察官からの質問になると態度を一変させました。
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起訴状などによりますと、住居不定・無職の小塚勝也被告(64)は2023年2月、当時住んでいた愛西市の住宅で、事実婚関係にあった植手敬子さん(当時54)から頼まれて包丁で胸を刺して殺害したあと、家に火を放ち、すでに死亡していた植手さんの母親の純子さん(当時83)の遺体を損壊した、嘱託殺人などの罪に問われています。
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5月に開かれた初公判では、小塚被告は起訴内容を認めました。続く冒頭陳述では検察側が、小塚被告と敬子さんが母・純子さんの年金を頼って生活していたと指摘したうえで、「2023年1月30日に純子さんが亡くなり、生活苦から心中することにした」「火の勢いが強く、自殺するのが怖くなった」と述べていました。
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5日、名古屋地裁で開かれた裁判では被告人質問が行われ、弁護側から”純子さんが亡くなったと気づいた時のこと”について聞かれると、「夕ご飯を食べさせようと、けいちゃん(敬子さん)と2人で部屋に行ったら、いつもと違っていた。近くに行ったら、息をしていないし、冷たかった」などと答えました。(小塚被告)「常々『僕たち3人は一枚岩だ』と言っていた。(純子さんが亡くなった時)けいちゃんは泣いて『もうやっていけないよね。お母さんが死んだら、年金も入ってこないし』と言っていた」
一方、検察官からの質問が始まると…(検察官)「事件当時の債務額はあなたの頭ではいくらだと認識していましたか?」(小塚被告)「黙秘します」(検察官)「純子さんは亡くなる数日前から寝たきりに?」(小塚被告)「黙秘します」(検察官)「敬子さんを刺したことについてのあなたの言い分は?」(小塚被告)「黙秘します」(検察官)「結果として敬子さんの命が失われたことについては?」(小塚被告)「黙秘します」(検察官)「思い出が詰まった家を燃やしたことは?」(小塚被告)「黙秘します」小塚被告は「黙秘します」の一点張りに。検察側の質問に「黙秘します」と答えた回数は25回を超えました。
(検察官)「先ほど、弁護側の質問で『罪に向き合って更生する』と話していた。法廷で話そうとは思いませんか?」(小塚被告)「正直に話しています」(検察官)「できればこちらの質問にも答えてほしいのですが・・・」(小塚被告)「黙秘します」(検察官)「それがあなたの反省や更生の気持ちですか?」(小塚被告)「はい」
炎に包まれた自宅 被告は36リットルの灯油をまいたという(視聴者提供)
その後、裁判官からの質問になると、はっきりと答えました。(裁判官)「生活はどこが苦しかった?」(小塚被告)「どれが苦しい…すべてが苦しい。お米がなかった、電気代・水道代が払えなかった」(裁判官)「2人で心中しようと言ったのはいつの話?」(小塚被告)「お母さん(純子さん)が死んだときです」「2人で『包丁でお互いを刺そう』と言いました」(裁判官)「心中を決めてから、1週間贅沢をしようと話し合ったということですが、その1週間はどんな話をしましたか?」(小塚被告)「どういった話?『きょう天気いいね』とか、本当にいつもと全く同じです」(裁判官)「あなたでも敬子さんでも心中をやめようと言うことはなかった?」(小塚被告)「なかったです」(裁判官)「1週間は楽しかったですか?」(小塚被告)「すごく楽しかったです」
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(裁判官)「今、あなたは生きている。それはどう思いますか?敬子さんたちの後を追いたいと思いますか、それとも生きようと思いますか?」(小塚被告)「一番初めは火が怖くて外に出て、もう一回中に入ってけいちゃんと一緒に死のうとしたのは供述調書にも書いてあります。今は被害者の方たち(延焼した近隣住民や遺族)のことを背負って生きていくとしか考えていない」
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次回の裁判は9月29日に開かれる予定です。