”ロケ地・我孫子” 映画活用しPR 市内撮影の「ぬけろ、メビウス!!」 DVD化、観光施設で上映

我孫子市は映画やドラマのロケ誘致に力を入れており、新進気鋭の加藤慶吾監督(35)が主に同市内で撮影した映画「ぬけろ、メビウス」のDVD化を受けて、ロケ地・我孫子をアピールする作品として観光施設で上映するなど活用している。ロケ誘致には市と地元NPOが連携して取り組んでおり、撮影は7年で291本に上る。加藤監督は手賀沼など同市の風景を絶賛し、手厚いサポート態勢も高く評価している。
加藤監督は、若手映像作家の登竜門とされる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」(埼玉県)で観客投票1位となった経歴のある実力派。
水辺の見えるロケ地を探し市内のNPO法人「手賀沼フィルムコミッション」に連絡。「手賀沼に加え、緑の多い住宅街も備えた風景が映画のイメージにぴったり」と我孫子での撮影を決めた。
撮影には市も全面協力。手賀沼公園や高野山桃山公園などが舞台となり、加藤監督は同公園について「登場人物の後ろから撮れば手賀沼、正面から撮れば公園の緑と、どこを切り取っても絶景」と、最も気に入ったロケ地と打ち明けた。
仕上がった作品は、雇い止めを宣告された契約社員の24歳の女性が大学進学を目指し悪戦苦闘する青春映画。上映時間1時間33分のほとんどを市内で撮影し、都内などの12館で上映された。
加藤監督は「主人公の職場として、地元企業が社屋を終業後に使わせてくれるなどとても協力的でうれしかった」と、行政だけではなく、民間企業のサポート態勢にも謝意を示した。
映画作品のDVDを寄贈された市は、「手賀沼親水広場・水の館」やJR我孫子駅前の観光情報発信拠点「アビシルベ」などでPR動画として活用。市民図書館アビスタ本館ではDVDの貸し出しも始めた。
市内では「サイレント」(フジテレビ)や「罠(わな)の戦争」(関西テレビ)など人気ドラマのロケ地の採用が続き、星野順一郎市長は「東京に近く豊かな自然も残る我孫子の魅力をこれからも映像を通じて発信したい」と力を込めた。